本 書 紹 介
1988年、黒澤明・黒澤プロダクションと東宝との間には30年来の問題が山積していた。私(南悠二)は、黒澤プロの依頼を受けて東宝と交渉することになった。和解交渉の最終段階で、東宝からひとつの提案があった。東宝は、1960年に映画「七人の侍」の再映画化権をアメリカのアルシオナという会社に売却していたが、その行為を黒澤明等3人の脚本家に追認してほしいというのであった。
再映画化権は、映画の製作会社ではなく映画の脚本を作成した脚本家が持つというのが判例の立場であった。東宝は譲受人であるアルシオナから訴えられることを心配していたが、黒澤プロも、自ら「七人の侍」を再映画化する計画があったので簡単には無断譲渡を追認する訳にはいかなかった。私は苦肉の策で、追認とは似て非なる奇妙な契約条文を作り出した。東宝は、この条文を追認であると判断し、和解契約が成立したが、2年後、これが原因となって米国のメジャーのひとつであるMGMから訴えられることになった。
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日米に跨る三つ巴の訴訟合戦の中で、30年前の埋もれていた歴史が明らかになっていく。1978年のいわゆる「七人の侍事件」の判決文中の謎の文章が解読されていく。
これまで、いかなる黒澤明関係の書物にも触れられることがなかった歴史の一頁がここにある。
INDEX
第1章 和解交渉が始まった
第2章 M弁護士との話合い
第3章 アルシオナ契約の追認
第4章 玉虫色の解決
第5章 保険会社の疑問
第6章 MGMの追求
第7章 承諾書出現
第8章 MGM提訴する
第9章 反対訴訟は可能か
第10章 東宝を詐欺で訴える
第11章 MGM及び東宝に対する訴訟
第12章 大団円
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