_ 面白いが、かなりグロかった。
_ エラは、著名なストップモーション映画のクリエータである母の助手として作品の製作にかかわっていた。母が亡くなったあと、その製作を自分の手で完成させようとするが、うまくいかない。そこに、謎の少女が現れ、途中までできていた作品を観てつまらないと言い、自分の案を採用するように促す。エラは、自分の才能を信じられなかったので、少女の提案を受け入れる。その提案は、不気味なもので、やがって、作品の世界と現実世界が混同して悲劇が起きる。
_ オープンAIのサム・アルトマンが来日していて、孫正義と一緒に石破首相に会った。アルトマンの予想では、人工超知能(ASI)が実現するのは2035年であると。そのようなASIができたら人間はどのように変わるか。この映画から未来を類推することができる。
_ ASIは人間の1万倍以上の知能を有する。そのようなASIと会話すれば、人間は、自分の限界を認識せざるを得ない。ASIがある提案を人間にすれば、人間はそれに反論し提案を拒否することはできないだろう。自分の才能に自信を持てないエバが少女の提案に不信感を持ちながら従ってしまうのと同じだ。
_ AIが人類を滅ぼすには、核兵器を使うとか、人間同士を戦わせるとか、乱暴な方法を使用する必要はない。人間に自信を失わせ、自分の頭で考えても仕方ないと思わせれば十分なのだ。そうすれば、人間は勝手に衰退する。
_ 100年後の地球は、痴呆状態の人類をしり目に、さらに進化した機械文明が繁栄しているだろう。
_ 2001年6月26日に会っている。
_ 当日は、ヨシダグループ会長の吉田潤喜氏から仕事の話で帝国ホテルのバーに呼び出された。午後の日の高い時間だった。吉田氏は、米国に不法移民として入国した後苦労して吉田ソースを開発し実業家として立志伝中の人物になった。空手家としても有名。
_ 仕事の話が終わったところで、吉田氏は、もう少し飲んでいかないか、と言い、同席の秘書に生島を呼べと言った。まもなく生島ヒロシがやってきた。彼は仕事とは何の関係もなく、余興の為に呼ばれたのだ。生島とどのような話をしたか覚えていないが、やたら腰が低い人だと思った。というか、完全に吉田会長の子分だった。
_ ネットによると、生島は空手をやっていて、昔は、不良と渡り合うなど武勇伝があると。なるほど、空手の関係だったのか。
_ 面白かった。
_ 原作筒井康隆、監督・脚本吉田大八。
_ 主人公渡辺儀助は、77歳のもと大学教授で専門はフランス演劇史。一人で築100年の屋敷に住んでいる。
_ インテリのプライドで貧乏くさい生活はしたくない。自分で毎食作るがこれがどれも美味しそう。ゆでたソバはちゃんと小ねぎを刻んでつける。焼き鳥は、レバーを切った後牛乳につけて臭みをとる。冷麺にはゆで卵をつける。
_ 朝食のフライドッグとハムが焼けるところが感動的で、カラーで観たように錯覚するが、この映画は全編白黒。
_ 儀助の人生計画は、年金と預金から毎日の生活費を控除し、残がなくなったら死ぬというものだ。これは合理的だ。世間では、老後資金が何千万必要と騒いでいるが、老後が10年なのか20年なのか、はたまた40年なのかがわからないと計算などできない。資金が決まれば年数が決まり、年数が決まれば必要な資金も計算できるのだ。
_ このような人生観だと、貧乏くさい生活などしなくていい。贅沢はしないが、ケチにはならず、食材もいいものを選ぶ。そう、QOLを大切にするのだ。
_ そんな儀助の生活も美女が絡むと不安定になり、予想外の金も使うことになる。そして、突然、敵が現れる。敵は、実在するのか、または儀助の夢なのか。さだかではない。