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2003-02-01 刑務所の中

_ 漫画家花輪和一が銃砲刀剣類等不法所持、火薬類取締法違反で懲役3年の実刑判決を受け日高刑務所に入った実話に基づく映画。原作の漫画は以前読んで面白いと思った。原作のある映画は先に原作を読んでしまうとつまらなく感じることが多いのであまり期待していなかった。

_ ところが、実に面白かったのだ。漫画を読み返してみたが、ほとんどのエピソードが漫画の中にあったしセリフも同じものが多かった。それでいて映画には漫画にはない味があった。山﨑努をはじめに俳優がうまかったということはあるが、それだけでは漫画を超えられない。

_ 多分それは映画にあって漫画にないもの、動きと音ではないか。

_ 刑務所では何をするにも許可が必要だ。花輪が作業場で消しゴムを落としたとき、彼は手を上げて「願いまーす!」と大声をあげる。それを認めた刑務官は派手な動きで花輪を指差し太い声で「はい!」と叫ぶ。すべてが大げさで絵になる。運動場までの行進の「いちにいちに」や天突き体操の「よおいしょー」の掛け声、作業場から便所に行くときの小走りの動き、作業を始める前の手こすり、いずれも理屈なしに面白い。

_ 漫画で印象的だった刑務所の食事は映画でも力を入れて描かれていた。刑務所では食事が一番の楽しみで、それが美味いのだ。正月はとくにご馳走がでる。漫画でもそうだったが映画も食堂のメニューのように料理を映し出す。あじのフライなど、とてもおいしそうだった。花輪と別の部屋の囚人原山との運動場での会話。「ご飯にしょうゆをかけると美味しいね」「そうだね」「ソースをかけても美味しいよ」「今度やってみよう」には何かほのぼのとした気分になり家でやってみようかと思ったが結局やらなかった。多分シャバでは美味くないに違いない。

_ いわゆる力作ではなく、このような自然体の映画を国際映画祭に出すべきではないかと思った。もっとも、世界には日本の刑務所が天国に見える国が沢山あるから、それを目当てに外国から人が来るのも困ったことだろう。


2008-02-01 新型インフルエンザ

_ H5N1型の鳥インフルエンザに対してやっと政府が対策を検討しだしたようだ。

_ 今日の日経新聞朝刊によれば、これまでの全世界での発症者は357人で死者は224人だそうだ。実に60パーセントを超えている。ペストなどより死亡率が高い。

_ 政府の試算だとパナデミックになったときの日本での発症者は3200万人で死者は最大64万人だそうだ。これは2パーセントに当たる。この数字はスペイン風邪のときの死亡率を参考にしたとのことだが、それでいいのだろうか。

_ 鳥インフルエンザが人対人で感染するようになる場合は毒性が薄まることがあるようだ。それは既存の人のインフルエンザの遺伝子を取り込む場合で、そうではなく、現在の毒性を維持したままで感染力を持つこともありえるという。

_ 60パーセントの死亡率で3200万人が感染すれば日本だけで2000万人が死ぬことになる。そのとき何が起きるかは、「28日後...」とか「アイ・アム・レジェンド」などを観ると想像がつく。


2022-02-01 ジギー・スターダスト

_ デビッド・ボウイの最終公演のドキュメンタリー。彼の生誕75周年を記念してのBUNKAMURAシネマでの上映。

_ 彼と同い年とは知らなかった。

_ 彼と「戦場のメリークリスマス」の契約は作成したが会うことはなかった。彼の音楽にも興味がなかったが、何となく観に行っていいと思った。大島監督が気に入ったのもわかる。

_ 今日、石原慎太郎が死んだ。私の日記に名前が出る人がどんどん死んでいく。

_ 最近見る夢に出てくる人は霊界にいる人が多い。夢の中で、こいつはもう死んでいるはずだがと思うこともある。

_ あの世にいる人で一番思い出すのは三島由紀夫。ベランダで陽光を浴びながら食後のコーヒーを飲んでいると思い出すのは、あの上半身裸で日光浴していた三島。ほかの、何でもない瞬間にもあの日の三島の姿を見る。もう50年たつのに。

_ 石原が一番話したかったのは三島に違いない。


2023-02-01 モリコーネ 映画が恋した音楽家

_ エンニオ・モリコーネの自伝のような映画。

_ 最初は、昔見た映画の場面と音楽が懐かしく、集中して観ていられた。しかし、途中からインタビューを受ける映画関係者や音楽家がみな彼のことを絶賛するのに食傷気味になる。200年後には、バッハやベートーヴェンを並び称されるようになるという評価に唖然とし、途中で観るのをやめて退席した。

_ 贔屓の引き倒しということを知らないのか。

_ 一番感動した場面は、彼が「荒野の用心棒」の音楽を作曲する際、この映画が日本映画のリメイクだと教えられ、その映画、「用心棒」のシーンが流れたところだ。やくざの集団を迎え撃つ三船敏郎、鳥肌が立った。やはり、黒澤と三船はすごい。


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