少数意見

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2009-02-14 小泉発言

_ 麻生批判についてはあまり異論はないようだが、定額給付金についての発言は誤解されていると思う。

_ 小泉は「私は本当にこの法案が3分の2を使ってでも成立させなきゃならない法案だとは思っていないのです」と言っている。その前では「衆議院と参議院の意見が違ったら、どういう政策なら国民が納得できるかよく協議してもいいのではないかと私は思う」と言っている。

_ 衆議院の優越は憲法に規定されているが、どんな問題でも3分の2で押し切ってはいけないということではないか。自民党が衆議院で3分の2を占めているのは郵政選挙の結果で、それが今の民意を反映していないことは明らかだ。また定額給付金については世論の大勢は反対と思われ、そのような問題のある法案が参議院の反対を押し切って衆議院で成立するのは憲法の精神ではないだろう。

_ 小泉はさらに「この定額給付金についてはもっと国民に懇切丁寧に妥当な答えを出してほしいなと思っています」と述べている。

_ 自ら常識人であると言っている小泉の発言を素直に解釈すれば、きわめて穏当な意見だと言える。


2013-02-14 戦場のメリークリスマス

_ 大島渚監督が亡くなって戦場のメリークリスマスの映像がテレビで流れ、懐かしく思い、いくつかエピソードを書こうと思った。

_ 戦メリについては、エッセイの中の「映画の仕事」で少し書いたが、10センチぐらいの厚さのファイルがあるので「乱」のように面白い話が書けるかと考えたことがある。しかし、この仕事は法律的には面白かったが「乱」のような人間ドラマは無かった。

_ そこで少しは興味を引くエピソードを探した。

_ 東映の高杉修さんから大島監督が弁護士を探しているという電話があって、監督の妹で大島プロの事務局長という肩書きの大島瑛子さんが事務所に来た所から話は始まった。そのときはまだ具体的な仕事は無く、動き出したらお願いするということだった。瑛子さんの話で印象に残っているのは、デヴィッド・ボウイがやった役を最初はロバート・レッドフォードで考えていたということ。しかし瑛子さんが実際にレッドフォードに会ってみると、落ち着いてしまっていて、危険なところがなく、とても無理だと思ったと。

_ 瑛子さんと会ったのはファイルによると1981年10月30日だった。それから半年以上何の連絡も無かったが、突然資金集めをしていたエグゼキュティヴ・プロデューサーが来日するという電話があり、1982年6月19日と20日に会議をした。それから2週間ほどイギリスとニュージーランドの投資家やプロデューサーの代理人と主にテレックスで協議をし、7月7日から17日までロンドンに行った。そのときの話はエッセイに書いた。

_ ロンドンでは映画製作の契約のほか映画化権を確保する仕事もした。戦メリはイギリスのローレンス・ヴァン・デル・ポストの小説を原作としていた。原作者の弁護士に会いに行ったが彼は田宮二郎の弁護士として「イエロー・ドッグ」(田宮が製作した日英合作映画)の契約交渉をしたそうだ。田宮は1978年に猟銃自殺したが、弁護士は田宮のことを懐かしそうに話していた。

_ 日本サイドでロンドンに行ったのは私だけだったが、大島さんとはその前に東京で何回も会って話した。大島さんは会議の席でも酒臭いことが多く、苦しそうに会議室のテーブルに突っ伏している姿を思い出す。一度傘を事務所に忘れていったが、立派な彫り物のある高そうな傘だった。後で大島プロの人が取りに来た。

_ 大島さんと野坂昭如が殴り合いのケンカをしたパーティーにも呼ばれて行ったが、あの事件の前に帰ってしまった。

_ 大島さんと最後に会ったのは「御法度」の試写会だった。私は大島さんに挨拶する人の列に並んで「監督おめでとうございます」と言ったが大島さんは私が誰かわからないようだった。


2022-02-14 ドライブ・マイ・カー

_ 新宿TOHOで観た。

_ 大騒ぎするほどの傑作ではない。先に観た「偶然と想像」のほうが刺激的で面白かった。

_ 舞台監督である主人公が役者を訓練する方法は面白かった。そこにある哲学がこの作品全体に及んでいるかというとそうでもない。

_ 179分の長尺だが、全体としてみればメロドラマのようだ。主人公やドライバーの抱えている傷は深刻ではあるが通俗的だ。「偶然と想像」の登場人物のほうがもっと、とがった痛みを感じていたと思う。

_ アカデミー賞的には、ダイバーシティーが描かれ、白人が出てこない東洋の(どの国の東洋人だかアカデミー賞の連中にはわからないだろう)話で、面白くないが無難というところか。


2023-02-14 イニシェリン島の精霊

_ アイルランド沖の孤島での話。パードリックは友人のコルムを毎日午後二時に誘ってパブでビールを飲む。それが突然拒否される。理由は、自分は老齢で、パードリックのような退屈な人間と話をすることで残りの人生を無駄にしたくないと。パードリックは全く理解できない。しかし、コルムの態度はかたくなで、これ以上話しかけてきたら、自分の指を一本ずつ切り落とすと。そして実行する。

_ 以後、和解はなく、破滅に向かって進んでいく。島の精霊の影響があるのかもしれない。

_ 好きだった人間を突然嫌いになることはある。理由は考えられないことはないが、決定的なものはない。しかし、一度そのような状態になると元には戻らない。fall in love があるように fall out of love もある。

_ そうなったら、無駄な努力はしないほうがいいだろう。パードリックは元に戻すことに一生懸命になり、結果的に関係を悪化させた。


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