_ クリント・イーストウッド監督作品にしては切れが悪いと思った。
_ これは true story とのことで、キネ旬によれば登場人物の言葉なども史実に則していると。扱われた事件は奇想天外で、事実の重みには圧倒される。しかし、これがフィクションだったら脚本は詰め込みすぎで焦点が絞れていない失敗作だと思う。
_ 子供が失踪した母親の視点から描かれていて、感情移入しやすい。その反面他の人間が類型的で平凡だ。教会が善で、警察が悪という構図がどこかで変わるかと思っていたが、最後までそのままだった。
_ うそつきの子供と混乱している母親に翻弄される警察の視点で描いたらもっと面白いものが出来ただろう。
_ サイコパスの殺人犯には興味があるのでどんな人間なのか知りたかった。彼にとっての罪と神と赦しは何なのだろう。日本の犯罪史にはいない異常な怪物だ。
_ アンジェリーナ・ジョリーは熱演だが、美人が泣き、怒り、叫ぶ姿はあまり見たくなかった。最後の方で、毛皮の襟がついた高そうなコートを着ていたのはそぐわなかった。多分これも史実なんだろうが。
_ 渋谷のシネクイントで観た。
_ 今まで観た映画の中で一番奇怪な映画。
_ 主人公の少女は、交通事故で負傷し、手術の結果頭蓋骨にチタンを埋め込まれる。その結果か、後日彼女は殺人鬼になり、自動車を愛することになり、車とセックスして妊娠する。そのあとは、トーンが変わって愛の物語になる。
_ とにかく面白かったが、監督が何を伝えたかったのかはわからない。別にそんなことはどうでもいいのだろう。
_ じつは、私も交通事故で頭にけがをして頭蓋骨に穴が開いていた。チタンを埋め込まれたことはないが、小学校の頃は鉄板を編み込んだベレー帽のようなものをかぶっていた。今は、骨がくっついているようだ。
_ 加害者は、米軍の軍人で、その運転するジープにはねられた。私が、自分で車道に飛び出したらしい。ジープの中で血だらけになって泣いている自分を覚えている。
_ 私は、ジープで当時米軍の病院になっていた聖路加病院に搬送され入院した。多分、その当時の日本にには脳外科の手術をする病院はなかったので、かろうじて助かった。
_ 場所からすると言語機能が障害を受ける可能性があったが、とりあえずなんともない。
_ 足首のあたりから輸血のためだか、管が埋め込まれていて、小学校のころそれを取り除くため前田病院に行った。私は、大暴れして手術に抵抗し、局部麻酔でよかったところ全身麻酔をかけられた。それも、看護婦が麻酔薬を塗布したガーゼを顔に押し当てるという荒っぽい方法で。
_ 中学になって、脳の診断を受けるために病院(どこだか覚えていない)にいった。脳波を測定するのに時間がかかたので担当の女医と話をした。私が、ミステリーが好きだというと。彼女も好きだといった。私が、クロフツの「樽」などが好きだというと、彼女は急に真剣になり、レベルの高いミステリー談議になった。
_ 韓国のバイオレンスアクション。面白かった。
_ フィリピンから韓国釜山へ韓国人の凶悪犯罪者多数を搬送する貨物船。定石通り囚人奪還が計画され、警備の警察官と悪人どもとの殺し合いが始まる。メインな登場人物がどんどん殺され、やがて本当のオオカミが現れる。
_ 異質と思われる二つの映画を合体させたような作品だが、すごいエネルギーでまとめている。韓国映画の勢いはやばい。昔は日本映画にもこのような力があった。