_ ネタばれあり。(以後表示せず)
_ 絵はきれいだったがストーリーがつまらない。後半は特にひどい。
_ 渋谷の裏に渋天街というバケモノの世界があるという着想は面白い。しかし、描かれた世界は住人が獣の顔をしているというだけで驚きはない。
_ さらに問題なのは、最初は一度入ったら現実世界に戻れないと思われたのが、後半では自由に行き来できるようになっている。挙句の果てには、主人公である少年のガールフレンドがついてくる始末だ。そして、このガールフレンドはアメリカ女のように出しゃばりだ。
_ 少年は彼女の助言で大検を受けることを決意するというあきれたハッピーエンド!
_ 異界を描くのなら現実世界とは隔絶した世界にすべきだろう。出入り自由な異界など何の魅力もない。
_ 生物学者小林武彦の著書。ななめ読みした。
_ ほとんどの動物には老後はなく、ピンピンコロリで逝くという。ヒトに老後があるのは子育てのためで、老後を生きる遺伝子を持った個体が生き残った。
_ 小林は、子育てのほか、ヒトのシニアには調整力があるので集団の存続維持に貢献したという。確かに、古老は従来長年の経験知を集団のために生かすことができた。しかし、ITの社会においては、過去の知識経験はほとんど役に立たない。
_ ヒトの老人はヒトという種の維持には役に立たない。むしろ有害である。
_ 健康寿命と平均寿命との差の期間はコストのみありパーフォーマンスはない。その結果、本来子供を産み育てるための財が老人の延命に使われ、種は細っていく。
_ 三島由紀夫の思想は、夭折の美学を基本とする。ヒトは若く美しいうちに死ぬべきである。種の維持は問題ではない。美が存在すればいい。
_ 三島は、45歳が美しく死ねる限界の年齢だと言っていた。