_ 有名なマンガの実写化であるが、原作は読んでいない。原作が好きな人はいろいろと文句があるようだが、私は結構楽しんだ。
_ 高々とそびえる3重の塀が村を囲んでいる。そこで100年間平和に暮らしていた人々を巨人たちが襲う。
_ 3重の高い塀という設定は、5月に公開されたアメリカ映画「メイズランナー」と同じだ。こちらの映画は、塀の中の住人は何者かに拉致され連れてこられた人々で、記憶を失っている。ここでも塀の外には怪物がいる。
_ 塀は外部の危険から人々を守るものであるが、外の世界を見たり、脱出しようとする者には大きな障害となる。塀は何を象徴しているのか。
_ 今、世界の先進国は一応の平和を享受してる。しかし、この世界の外側には人を喰う魔物がいて時々侵入を企てる。外部と内部を隔てる見えない塀があるようにも思えるが、強固な塀ではないようだ。
_ 住人の中にも、塀の中の生活を維持し守ろうとする者と、巨人や怪物と対決しても塀の外に出ようとする者がいる。塀に頼る人々も巨大な建造物が簡単に壊れるのではないかと不安に感じている。
_ 「進撃の巨人」も「メイズランナー」も前編のみが公開されていて、結末はわからない。
_ 金原ひとみの最新作。彼女の小説は、だいたい新刊が出ると買っている。
_ この作品は、今までのものとは違っている。別な人が書いたようだ。つまらなかったわけではないが、期待したものとは違う。
_ 14歳の中学生のレナレナを主人公にして、その親や友達との日常を描く。いわゆるラノベなのか。従来の作品と違うのは毒がないのだ。
_ このような路線のほうが売れると思ったのかもしれないが、これまでの読者を失うことになりかねない。
_ 2005年のAMEBICの中のエピソード。主人公は六本木を歩いていて、たまたま入った本屋で10冊以上も本を買い、配送を頼むが断わられる。彼女は嫌がらせに、レジ際に置いてあったプラスチックのブックマークを10個買い、10枚の領収書を切ってくれと言う。露骨に嫌な顔をした店員に、爪をカチカチとカウンターに叩きつけ、苛立ちを表現する。
_ このような描写は金原ひとみにしかできない。