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2009-12-02 イングロリアス・バスターズ [長年日記]

_ ブラピが大活躍してナチスをやっつける話だと期待するとがっかりする。

_ これまでの活劇の定石を意図的に外して、安易なカタルシスを避け、それでいて2時間半を飽きさせない傑作。

_ ブラピ軍団の話と並行してナチスに家族を殺された少女(メラニー・ロラン)の物語がある。しかし、ブラピと彼女は出会わない。映画館主になった少女とそこでヒトラー暗殺テロと企てるブラピは顔を合せない。

_ 少女と刺し違えるナチスのヒーローは互いに憎み合っているわけではない。二人が殺しあうのは単にタイミングが悪かったからだ。

_ 本当の主人公であるユダヤ人ハンターのナチス将校(クリストフ・ヴァルツ)はナチスを裏切り生き延びる。勧善懲悪はない。

_ 最後の場面で、ブラピはナチス将校の額にカギ十字を刻み、上手く出来たと喜ぶ。劇場爆破によってヒトラーは死んだのか。ナチス第三帝国は崩壊したのか。映画はそのような大きな歴史には興味が無いようだ。

_ 悠久の時間の中では、第三帝国の運命と額のカギ十字の出来栄えには軽重の差はない。

_ 映画の世界にある予定調和は現実世界には存在しない。

_ そのような不条理の中でも美は存在するとタランティーノは言いたいのだろう。劇場が燃えるシーンは美しかった。ナチスのカギ十字のバナーには炎がよく似合う。


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