_ ホラー映画なのにコメディの要素もある。
_ 長年連れ添ってきた倦怠期のカップルが、移住した村の森の中で洞窟に落ち、それから、不思議な体験をする。二人の身体が意思に反して引き合い合体しようとするのだ。プラトン曰く、人間はそもそも二体が合体した存在だったのだと。だから本来の形に戻ろうとする力が働くのだそうだ。
_ 合体したあとの存在がどのようなものかは明確には示されない。シャム双生児のようになるのか、それとも新たな独立した単独の人間になるのか。また、合体した後の自己意識はどうなるのか。自分が誰であると認識するのか。
_ 「我があると思うから不滅が生じない」という仏教の論理に三島由紀夫は言及しているが、我をなくして他者(共同体)の一部になりたいという願望は誰しも少しは持っているのではないか。
_ 深田晃司監督作品。面白かった。
_ 女性アイドルグループに所属する山岡真衣は偶然中学の同級生間山敬に会い恋愛関係になる。山岡は所属事務所との契約に恋愛禁止条項が含まれていたため、損害賠償請求の訴訟を起こされる。被告は、山岡と間山の二人。
_ 映画のタイトルからすると法廷劇が想像されるが、法廷の場面は少ない。全体としては恋愛映画で、アイドルの実態、アイドル間の友情、事務所との関係、ファンとの関係などが描かれる。この世界のことは知らないが、部外者が見ても分かる。
_ 法律問題としてみると、恋愛禁止条項の有効性、基本的人権との関係が争われると思われる。この映画は、法律の詳細には立ち入らず、裁判の結果も明確ではない。
_ 第一審の判決の直前に事務所側から和解提案がある。事務所が、大企業に買収され、その企業が世間体もあり穏便に済ませたいとのこと。和解案によると、損害賠償請求は取り下げる。謝罪文は形式上必要だが、公表はしない。
_ 間山は和解に同意するが、山岡は不同意とし、新しい弁護士と裁判を継続し反訴も提起するという。
_ 元の弁護士は、将来のこともあるので和解したほうがいいと勧めたが山岡は納得しなかった。意地なのかプライドなのか。
_ 訴訟の途中で、二人の間で意見が食い違った。損害賠償額は800万円で二人には払える金額でなかった。間山は大道芸人で、車にいろんな道具を積み様々な広場で芸を披露する。その車を売って損害賠償に備えようとする。山岡の親は、金を貸すことに同意していた。しかし、間山はそれを断った。山岡は、間山がつまらないプライドにこだわっていると怒る。
_ プライドは、損得以上に人間の行動に影響することがある。
_ 2006年公開の作品の4Kリマスター版。筒井康隆原作、今敏監督作品。
_ 最初に観たのはたぶんビデオだったと思うが、映像、色彩が印象的だった。
_ 他人の夢の中に入っていけるという設定だが、「インセプション」に影響を与えたと言われている。白い冷蔵庫、赤い郵便ポスト、多数のカエル、リアルな人形そして揺れる鳥居が派手な動きで行進するパレードが有名だ。黒澤明の「夢」の水車小屋のある村での葬式のパレードを思わせる。
_ この監督の「千年女優」もいい。監督と原作者が声優としてクレジットされている。