_ オバマ大統領は正義(justice)が達成されたと言っていた。果たしてそうであろうか。
_ Justice には正義のほかに裁判という意味もある。例えば、bring sb to justice は「裁判にかける」という意味になる。
_ ビンラディンは裁判にかけられることなく殺された。裁判で有罪が確定するまですべての人は無罪と推定される。従ってこれは無実の人の殺害ということになる。
_ 米国憲法第5修正は「何人も・・・due process of law によらずに、生命、自由または財産を奪われることはない」と定めている。この「法の適正手続」はアメリカが世界に誇る価値であったはずである。
_ テレビシリーズ「ザ・ホワイト・ハウス」では、ジェド・バートレット大統領が、テロ支援国の国防大臣を暗殺するエピソードがあったが、彼はその決断をするにつき大いに悩み、殺害後も落ち込んでいた。オバマ大統領は何の矛盾も感じないのか。
_ 米国はテロ国家に成り下がった。
_ フランクルの「夜と霧」に、ナチスの収容所から解放された人が、自由になったとたんそれまで自分に対して行使されていた権力や暴力を他人に対してためらいなく行使することがあると。
_ ガス室で身内を殺された者には多少の悪事は赦されるという論理だ。
_ 謝罪に来た東電社長に土下座しろと怒鳴ったやからは同様な気持ちだったのだろう。それまでは話しかけることも出来なかった大会社の社長を怒鳴りつけ土下座させる快感を味わったことだろう。
_ 彼は、立場が逆転していて、彼が強者で社長は弱者であることに気付いただろうか。少なくとも社長が自分になにも反論できないことは承知で怒鳴ったのだろう。弱い者しか怒鳴れない自分の卑劣さには気付かず英雄気取りだったのだろう。