_ 本谷有希子原作の映画。原作小説はたまたま読んでいたのだが、気に入らなくて、映画を観る気は無かった。でも、映画評がいいので観てもいいかなと思った。そろそろ上映が終わるという一昨日、渋谷シネパレスのレイトショーでやっと観た。
_ つまらない原作でも素晴らしい映画が出来るということを発見した。
_ 原作の何が気に入らないかというと、リアリティーが欠けていると思ったのだ。私は、SFやファンタジーが好きなので、荒唐無稽なものが嫌いなわけではない。しかし、舞台が火星であれ竜宮城であれ、人間の行動には一定の法則がある。それを逸脱する行動を描くときは説明が必要だ。
_ この作品には、女優になりたいが挫折するジコチューで傲慢な姉とその姉の生を赤裸々に描いた漫画で成功するMだが本当は残酷な妹が登場する。二人の葛藤のエピソードの中に、姉が自分を売り込もうとある映画監督に手紙を出したが、郵便局でバイトをしている妹がその手紙を手に入れ、映画監督になりすまして返事を書くというものがある。姉は監督と文通していると信じて、自分がスターへの道を歩んでいると錯覚する。
_ こんな話を信じろと言っても無理だろう。ずっと田舎に住んでいる18才の少女が、映画監督のふりが出来るか。それも、だます相手が、成功していないにしろ東京の映画業界の表も裏も知っている女なのだ。こんなウソを書かれると腹が立つ。
_ では、映画はこれをどう処理したか。妹は漫画雑誌の大賞を受賞して東京に出て行くその日に、姉が監督に出したつもりの手紙の封筒を見せる。そこで姉は何が起きたかを悟る。それ以上の説明はない。
_ 小説であれば、読者はここで本を置いて、そんなことが可能かと考える。しかし、映画はそのような勝手を観客に許さず、すぐ次の場面に移っていく。展開が速いのだ。この作品の監督吉田大八は、小説の欠陥を一瞬の映像に閉じ込めている。
_ 文章も然りだ。下手な文章も映画になれば消えてしまう。上手い演技があれば、多少難のあるセリフも気にならない。物語の筋に無理があってもゆるせてしまう。この映画の役者は主役の佐藤江梨子をはじめみな熱演している。サトエリは地で行っているのではないかと思えるほどはまっている。
_ 撮影監督は「下妻物語」と同じ人で、山の中の田舎の風景がきれいだった。内容が強烈なので何回も観たいとは思わないが、忘れられない映画の一つになるだろう。
_ 今や大食い女王だけでなく視聴率女王になりつつあるギャル曽根だが、彼女のデビュー当時から見ている者としてはうれしい限りだ。
_ 大食い番組は好きで、岸、赤坂、新井の牧歌的な時代からよく見ていた。小林、白田の対決で盛り上がったと思ったら、中学生の死亡事故でテレビ番組が消えた。長いブランクの後復活した番組は早食いを排し大食いのみになった。早食いの王者小林はアメリカに渡りヒーローになった。及び腰で再開された日本の大食いに今日の隆盛をもたらせたのはギャル曽根の力だ。
_ 彼女の人気はその天然なキャラによるところが大きい。天然を売り物にしてるタレントは多いが、どこか作られた感じがする。ギャル曽根は本当に空気が読めないところがあって、聞いていてヒヤッとする発言がある。それを生意気とみる人もいるが、守ってあげたい可愛さと感じる人もいる。
_ でも、大食いになれば、プロレスラーや相撲取りを問題にしない強さだ。格闘技であれば、男女の差のない競技はほとんど無いだろう。小柄な女性が巨漢の男を倒すのはマンガの世界だけだ。そんなありえないことが大食いの世界では起きている。男子プロに混じってもギャル曽根は白田や山本のチャンピオンクラスに次ぐ力がある。
_ 安倍総理は小食だったという報道があったが、首相の資格要件の一つに食の太さを入れたらどうだろう。
_ 私はもともと小食の方だったが、ギャル曽根が美味しそうに食べるのを見ていてうらやましくなり、今ではよく食べる。最近の昼食はゴハン大盛りだ。オフィスの近くの定食屋はサービスで大盛りにしてくれる所が多い。おかげで体重が少し増えたが、”でもそんなの関係ねぇ!”。