_ 今日の朝日新聞によると、当時の羽田の視程は5000メートル以上だったとのこと。
_ もしJALが当時時速180キロで着陸しようとしていたなら、1分間に3000メートル移動することになる。当時海保機は40秒間滑走路に停止していたので、JALのパイロットは2000メートル手前から海保機を視野に入れていたことになる。
_ 当時JALには3人のパイロットが搭乗していたとのことで、着陸態勢にあった同機ではたぶん3人全員が前方を注視していたはずである。
_ 海保機はたぶん大型トラック以上の大きさで、滑走路は夜間とはいえ左右に誘導灯が点灯され滑走路に何があるかはわかるはずだ。ところがJALのパイロットは衝突まで海保機の存在に気付かなかったと言っている。
_ もしこれが本当なら、羽田には飛行機以外に多くの車両がいるので、その一つの運転手がテロを企てたら簡単に旅客機を破壊することができる。
_ ヴィム・ヴェンダース監督、役所広司主演。
_ 退屈はしなかったが、傑作だとは思わない。
_ トイレ清掃員、平山、の日常を描く。掃除するトイレがみなきれいで不自然。渋谷のトイレ宣伝プロジェクトから発展してできたというが、普通の公共トイレは便がこびりつき、小便があふれ、時には嘔吐物がまき散らされている。それはないことにして、観光映画のようなきれいな渋谷のトイレと、スカイツリーを見上げる下町と、首都高速道路の景観を外国人向けに描いている。
_ 平山の周りの登場人物はおおむねいい人たちで、孤独な主人公を一人にしない。そして、完璧な日常は、痛みがないかのように続いていく。
_ このようなおとぎ話でなく、現実を描くとすれば、コミュ障の平山は、周囲から疎外され、仕事は過酷で、老いは逃れようがなく、金はなく、希望もない。最後の場面、清掃用の車を運転する平山の表情は、笑っているのか泣いているのか。ひょっとして、車両の荷台には、大量のガソリンを詰めたポリタンクが積まれているのではないか。
_ 新聞によると、犯行直前に十数分逡巡していたことが責任能力が存在したことの根拠の一つになっていたとのこと。つまり良心の葛藤があったということ。もし良心がなく、彼がいう「闇の人物」に完全に支配されていたなら、無罪になっていたのだろう。
_ 良心があったなら死刑で、良心のかけらもなければ無罪というのは変ではないか。
_ なぜこのような結論になったかというと、人間には自由意思があり、自由意思が責任能力の前提と考えられているからだ。
_ では、自由意思は本当に存在するのか。ラプラスの悪魔に聞いてみるといい。
_ 面白かった。
_ 第80回ヴェネツィア国際映画祭最高賞、金獅子賞受賞。しかし、エログロ!
_ エマ・ストーンの演技がすごい。ゴシック小説が原作のようだが、時代背景は不明。映像がユニーク。現実をベースにしているがどこにもない世界を描く。