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2010-02-06 朝青龍引退と労働基準法 [長年日記]

_ 「朝青龍は引退させられたが、なぜ小沢一郎は引退しなくていいのか?」

_ 「それは、横綱には品格が要求されるが、政治家には品格は必要ないからだ」

_ という問答がある(笑)

_ それはともかく、横綱の品格について考えてみよう。

_ 朝青龍の引退記者会見を見ていて印象に残ったのは、マスコミ報道の行き過ぎについて、「それでメシを食っているんだから」と理解を示したことだった。そこには、自分も相撲でメシを食っているのに何でこんなことで辞めなければいけないのか、という無念がにじみ出ていた。

_ 今回の「引退」は横綱審議委員会が引退か解雇かと迫った結果だったとのこと。では、もし朝青龍が引退を選ばず解雇されていたらどうなったか。

_ 朝青龍は賃金をもらって生活しているので、労働基準法にいう「労働者」である。労働基準法は不当な解雇から労働者を保護していて、正当事由のない解雇は無効になる。社風に合わないから解雇するなどということは認められない。今回のような、仕事外の仲間内でのケンカも普通は解雇事由にならない。

_ そこで問題の「横綱の品格」が登場する。何をもって横綱の品格の有無を判断するのか明確でない。書いたものがあるわけではなく、昔の大横綱はこうだったなどと伝説のようなものを持ち出す。

_ 例えば、土俵上のガッツポーズについては賛否両論があった。それは双葉山の時代には無かっただろうが、時代は変わっている。規範が明確でないのに違反であるということは出来ない。日本人にも分からないものを外国人に押し付けるのは不当だ。

_ 百歩譲って、「横綱の品格」という概念を用いて朝青龍の言動を批判するのは自由だとしよう。しかし、だからと言って人の職を奪っていいわけではない。罪刑法定主義と同じ理由で、職を奪うためには何をすればそのような結果になるかが事前に本人に知らされていなければならない。

_ モンゴルでは、今回の出来事について、日本を非難する声があるという。当然である。外国人力士をこれだけ受け入れて金儲けをしている相撲協会は、誰にでも分かるルールを定めるべきである。ルールがないのに罰を科すような国は文明国とは言えない。

_ 日本人が「横綱の品格」という言語化できない独特の美意識で外国人を批判するのと、それで外国人の職を奪うのとは全く次元が違う行為なのだ。大日本帝国が「八紘一宇」などという思想でアジアを従わせようとしたのと同じ愚である。


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