_ つまらなかった。
_ 原田監督の技量というより、あの事件そのものがつまらない事件だったのだ。私も当時テレビにくぎづけになっていた一人だが、それは結末がわからなっかたからだ。分かってみればどうっていうことはない。
_ 歴史的にみても、すでに勝敗がついている試合の駄目押しの1点のようなものだし、あの直前にあった榛名山のリンチ殺人のように凄絶な人間ドラマがあったわけでもない。だから原田監督は警視庁と長野県警の主導権争いに焦点を絞ったが、この争いも会社の部門間の争いのようでミミッチイ。正義とか真実とかの高い次元の争いではなく、単なる縄張り争いだ。その中で役所広司演ずる佐々がカッコよく立ちまわる。しかし彼も能吏という以上誉めようがないつまらない人間だ。
_ 要するに、馬鹿な田舎の役人と中央から来た外国帰りのエリート(それを鼻にかけているイヤミな)の低次元な争いの物語で、これが日本だと言われれば納得しないでもない。
_ 1999年製作の韓国映画。ネタバレあり。
_ ユリョンは韓国が極秘に建造した核ミサイルを搭載した原子力潜水艦である。ユリョンは日本の潜水艦と接触事故を起こしたためその存在が日本とアメリカに知れ、両国の圧力により自爆させられることになる。航海の目的を察知した副艦長は艦長を殺害し艦をのっとる。日本海で遭遇した日本の潜水艦二隻を撃沈し、10発の核ミサイルを日本の10大都市に向け発射しようとする。これをヒーローのイ・チャンソクが阻止するのだが、アメリカ映画などと違って考えさせられる。
_ なぜ日本を攻撃するのかは、特に理由が示されず、唐突な感じがしたが、最期の場面で納得した。自爆装置が作動し、回復不能な損害を被った潜水艦の中で、副艦長とイ・チャンソクが対峙する。イは「核で歴史は変えられない。待っているのは報復だけだ」と言い、「まだ準備が出来ていない」と続ける。その直後、日本の潜水艦から魚雷が発射されたことが告げられる。副艦長は言う。
_ 「魚雷に負けたのではない。強くなることを恐れた我々自身に責任がある。強くならなければ踏みにじられて生きるしかない。つい最近まで、我々の歴史はあらゆる屈辱に耐えてきた」
_ 「まだ終わっていないのだ。一日で歴史は変わるか?いつまで屈辱の歴史を生きろと?」
_ 「傲慢なアメリカ野郎や日本野郎に五千年の歴史は渡さない。”幽霊”は我々自身で、我々の運命(ハン)だ」
_ ここは感動的だ。多少韓国の歴史を知っている人間にとっては、日本に対する復讐が民族の意志であることが分かる。この映画を観ていた韓国の人々はせめて映画の中だけでも日本が核の火に焼き尽くされるところを見たかっただろう。しかし核ミサイルのボタンは押されず、ユリョンは海の藻屑と消える。
_ 私がこの映画から学んだことは、日本は遠からず核武装せざるを得ないだろうということだ。韓国、北朝鮮、中国等に対する罪は謝ってすむものではなく、謝るべきものでもないだろう。副艦長が言うように、強くなることを恐れることは罪なのだ。歴史の屈辱は報復でのみ癒され、報復を防ぐのは強さだけなのだ。イ・チャンソクは決して日本の非武装中立論者のような無責任な平和主義者ではなく、現実主義者だ。彼は多分副艦長と心情的には共通のものを持っている。ただ現状認識が違うのだ。まだ報復のために機は熟していない。今やれば報復されるだけだ。
_ 韓国、北朝鮮が核武装したとき日本に出来ることは何か?彼らの核をなるべく使いにくくすることだ。イ・チャンソクのような冷静な現実主義者が過激な考えをもつ人間に対して、日本に核攻撃を仕掛ければ核の報復がくる、祖国のためにならない、といえるような環境を作ってあげるのだ。
_ 福田官房長官の最近の発言はそのための地ならしかなとも思う。日本人の核アレルギーというのは、病的で何かのきっかけで軍国主義に転じる。その日は近い。
_ 日本が決勝T進出する可能性が高くなってきた。韓国の場合は最後の相手がポルトガルなので厳しい。日本が残り韓国が落ちたらどうなるだろう。
_ 韓国はサッカーでは日本の先輩であり、今度のW杯でも国をあげての応援をしている。そして韓国と日本との関係は複雑である。そんななかで共同主催国の一方が決勝Tに残り他方が落ちるとなるとしこりが残るだろう。先日書いたように、韓国の日本に対する怨念を考えると、韓国が日本よりちょっといいところまで行くのが望ましい。日本はそのような結果になってもこだわらないだろ。3日もたてば野球に関心が移っていく。
_ そもそもW杯が国単位である必要があるのであろうか。ロシアでの暴動からも分かるようにこれをスポーツではなく擬似戦争と考えている輩が多い。負ければ戦争に敗れたように勝者に対する憎しみが残る。
_ 大遅刻してきたカメルーンとキャンプ地となった大分県の中津江村の交流をみて思ったのだが、チームをシャッフルして、各国は自国にキャンプを張った多国籍軍であるチームを応援したらどうだろう。予選まではこれまでと同じで32カ国が選ばれる。次にW杯組織委員会は全チームをポジションごとにシャッフルして多国籍のチームを作る。これらのチームが32の国に配属される。各チームは配属国でキャンプを張り調整する。監督も同様にいずれかのチームがあてがわれる。キャンプの期間は1,2ヶ月とし、その間各チームは配属国の国民と交流する。
_ われながら名案だと思うがいかがだろう。
_ 韓国がドイツに敗れてよかったと思っている。韓国が嫌いなのではなく(ハングル講座を毎週見ているーユン・ソナちゃんを見るのが楽しみ)、日韓の友好のためにはそれがよかったのだ。
_ 韓国が決勝に残って横浜に来たとする。決勝となると、それまで韓国を応援してきた日本人の中にも嫉妬心が芽生えてくる。韓国チームが上に行けば行くほど相対的に日本代表チームの評価は下がってくる。あんなに喜んだ日本の歴史的快挙はなんだったということになる。
_ 韓国の人にとってはどうだろう。横浜に乗り込んでいくことには、1910年の日韓併合以来の積年の恨みをはらすという側面がある。勝者として日本の地を踏むということは多くの韓国人が抱きつづけていた夢ではないか。喜びのあまり、無意識に日本人を見下す態度をとる。
_ 決勝戦当日、横浜には赤シャツの韓国サポーターが結集する。もともと多くの在日韓国人がいるからホームと変わらない。全国の韓国人の多い地域では、テレビの前に韓国人サポーターが集まる。韓国人の興奮が増すのに反比例して日本人の気持はさめていく。そして次第に反感に変わる。
_ この情況を奇貨として、日本の極右団体が行動をおこす。彼らは兵隊を二つのグループに分ける。先ず、青シャツの日本サポーターを装った一団が横浜国際総合競技場の周りに集まった韓国人サポーターを襲撃する。その直後、赤シャツを着た別な一団が横浜の商店街を襲う。そして、韓国人フーリガンが暴動を起こしたというデマがインターネットで流される。騒乱は瞬く間に全国に広がる。関東大震災の後の惨劇が再現される。
_ という可能性はなくなった。ドイツのゴールキーパー、カーンに感謝!