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2009-09-19 任侠ヘルパー その2

_ 介護をテーマにドラマを作ろうとすると、老人や障害者が団結して権力や大組織と戦い、それを支援する善意の人々がいる、というような話になりがちだ。この手の物語のネックは偽善だ。それを克服しないと感動する作品にならない。

_ 「任侠ヘルパー」の脚本家が試みたのは弱者に絡むのが「悪」という構図であまり例がない。翼彦一は、老人などから金を巻き上げる振り込め詐欺を生業としているヤクザの組長で、介護施設にいる老人の敵だ。

_ 昔のヤクザ映画でも、ヤクザが弱者を助けるという話は普通にあって、公害企業と対決するというのまであった。しかし、それらのヤクザは映画の中では侠客と呼ばれていて、博打以外の悪事は働かない。だからやはり偽善臭が漂う。

_ 翼彦一は、侠客ではなく、善人であると思われることを極端に嫌う。偽善者の反対の偽善者として描かれていて、いい人だと思われることに気恥ずかしさを覚える。

_ そのような彦一が、止むに止まれず正義を行ってしまうところに、いわゆるヒーローとは違った感動がある。もともと任侠道を実践するという意識はなく、仕方なく入った介護施設で働くうちに介護の問題に直面する。それは自分自身の生き方の問題でもある。

_ 最終回も解決策を示すことはなく、彦一は組を捨て、一人になる。ヘルパー研修で学んだのは本当の任侠道なのか。それはまだ分からない。続編が示唆される終わり方だった。いずれにしても、道を見つけるのは難しい。誰にとっても。


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