少数意見

最新 追記

2024-09-05 地底旅行

_ 新聞の書評で見たので再読した。書評になんと書いてあったかは忘れたが、もう一度読みたくなる内容だった。

_ ジュール・ヴェルヌの古典的なSF。ドイツの鉱物学を専門とするリーデンブロック教授と甥のアクセルが、アイスランドの休火山の噴火口から地球の中心への探検旅行に出発する。

_ 覚えているのは、この作品の映画をアメリカで観たということだ。映画の題名は Journey to the Center of the Earth で1959年公開とのこと。1959年ということは、私はNYにいて12歳だった。その当時、同じ小学校に通っていた同学年のユリコとトミコと仲が良く、いつも一緒に遊んでいた。この映画も連中と一緒に観たという記憶がある。子供たちだけで行ったとは思えないが。

_ 映画はパット・ブーンが主演で、彼はその当時一番人気の歌手で、エルビスより人気があったのではないか。映画の内容はよく覚えていないが、洞窟の壁面いっぱいの水晶が輝く場面は印象に残っている。

_ 小説はたぶん映画のあとに読んだのだろう。いつ読んだかわからないが、岩波文庫などではなく、少年向きのダイジェストではないか。地底探検に導く暗号が羊皮紙に書かれていて、その羊皮紙という言葉を覚えているので、英語ではなく日本語で読んだと思われる。

_ 日本に帰ってきてからは、SFではなく洋物のミステリーにはまった。シャーロックホームズは英語で全作品読み、中2のころは007シリーズを読んでいた。高校になってからはSFが好きになり、ミステリーは読まなくなった。日本のミステリーはほとんど読んでいない。


2024-09-09 エイリアン ロムルス

_ エイリアンのシリーズはこれまで7作あるとのことだが、本作は時代的には、第1作のエイリアンとエイリアン2の間に入るようだ。

_ このシリーズは、映画館で4作品観ている。本作はあまり目新しいところはなく過去の作品のオマージュに満ちている。それでも、観て損はない。

_ ちょっと引っかかったのは、アンドロイドのアンディーの扱いだ。彼は主人公のレインの父親がレインを守ることを指令としてプログラムした。そのアンディーが、ある都合でプログラムを更新することになる。更新後のアンディーはすべての機能が向上しているが、上記の指令は、書き換えられ会社の利益を最上位に設定されている。

_ アンディー役の役者は黒人で、プログラム書き換え前は善良だが少し知能が足りない設定で、書き換え後は、冷徹で感情に動かされない存在になっている。

_ 物語としては、アンディーは、後半で再度最初のプログラムをインストールされ、レインに忠実なアンドロイドに戻る。

_ アンディーが黒人であることからの連想は、アンドロイドは昔のアメリカの黒人奴隷で、奴隷が従順であった頃は(例えば、「風と共に去りぬ」の世界)白人の御主人と仲良く暮らしていたのに、悪い思想を吹き込まれたために対立関係になった、と言っているように理解できる。

_ 作品の最後でレインは、ほかの仲間がエイリアンに殺されて、アンディーと一緒に宇宙船で新天地に向かう際、外部に、「生存者一人」と報告する。アンディーは生存者に数えられていないのだ。


2024-09-21 大谷翔平の51号ホームラン

_ 50-50を達成した後の打席は9回に回ってきた。その時のピッチャーは野手だった。MLBでは試合後半で大差がついたときは、ピッチャーを無駄に使わないため野手に投げさせることがある。その場合攻撃側がどのように戦うかが問題になる。

_ 相手側とすれば、試合はすでにあきらめていて、早く終わらせたいのだ。攻撃側とすれば、野手が投げるのだから、容易に得点できる。MLBでは、その場合の攻撃は手心を加えたものにするのが暗黙の了解になっているようだ。

_ 2022年9月15日のエンゼルス対ツインズの試合の8回裏に大谷に打席が回ってきた。その時ツインズのピッチャーは野手のコディ・クレメンスだった。彼は有名なロジャー・クレメンスの息子だ。試合はエンゼルスが9点リードしていて、それ以上点を入れなくてもエンゼルスは勝てる状況だった。そこで、大谷は2ストライクのあと大振りの空振りをしてアウトになった。クレメンスは飛び上がって喜んだ。彼がMLBの試合でとった初めての三振だった。そのあとクレメンスは大谷からそのボールにサインをもらい、ガラスのケースに大事にしまったとのこと。

_ さて、昨日の9回表はドジャースがマーリンズに14対3で勝っていた。上記の例からすると、大谷は三振するか、ゴロでも打ってアウトになればいいということになる。しかし、大谷は特大の3ランホームランを打った。

_ 何が違うのか。一般的な大差の試合の場合は、勝敗はほぼ決していて、勝敗だけが関心であれば、早く試合を終わらせるのがみんなの利益になる。しかし、試合は野球チームのためにあるのではなく、観客、ファンのためにある。

_ 昨日の場合、観客、テレビの視聴者、その他の野球ファンは、大谷に打席が回るのを待っていた。それは野球がショウであって大谷はその主役だからだ。その期待に応えて51-51を達成したのはショーマンシップにかなっている。


2024-09-24 ナミビアの砂漠

_ すぐキレル女とすぐ謝る男の話。面白かった。

_ 一見おとなしくこぎれいな女が実は乱暴でだらしなく自分勝手なことはある。そして、このような女を好きになる男は意外と多くいる。

_ 河合優実演じるカナはやさしい元カレを捨てて自称クリエータの男を選ぶ。元カレはカナに戻ってくれと泣きながら懇願するが、カナは冷たくあしらう。カナは新しい男にも切れて殴り掛かる。それでもその男は自分が悪いという。

_ 北野武の作品だったら男は女を殴っていただろう。山中瑤子監督の描く男は、女の言い分が理不尽でも自分の非を認め謝る。カナは男社会に反抗しているように見えるが、相手方の反応は緩い。カナの怒りは空回りする。カナは自分が躁うつ病ではないかと心療内科の医師に聞く。病名がわかればカナは少なくとも自分が何者であるかわかる。しかし病名はつかない。

_ ナミビアの砂漠は、カナがスマホで観ている動画のことだ。砂漠の中に小さな水飲み場がありそこに動物たちが入れ替わりやってきて水を飲む。では、砂漠は不毛な現代社会を象徴しているのか。

_ 砂漠であれば、そして水飲み場があれば、問題と解決方法はわかる。現代社会はそれほど簡単ではない。


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