_ エンニオ・モリコーネの自伝のような映画。
_ 最初は、昔見た映画の場面と音楽が懐かしく、集中して観ていられた。しかし、途中からインタビューを受ける映画関係者や音楽家がみな彼のことを絶賛するのに食傷気味になる。200年後には、バッハやベートーヴェンを並び称されるようになるという評価に唖然とし、途中で観るのをやめて退席した。
_ 贔屓の引き倒しということを知らないのか。
_ 一番感動した場面は、彼が「荒野の用心棒」の音楽を作曲する際、この映画が日本映画のリメイクだと教えられ、その映画、「用心棒」のシーンが流れたところだ。やくざの集団を迎え撃つ三船敏郎、鳥肌が立った。やはり、黒澤と三船はすごい。
_ 二人の女性クライマーが老朽化した600メートルの鉄塔に上る話。面白かった。
_ 鉄塔の上の踊り場にたどり着いたが、鉄梯子が崩壊落下し、降りることができなくなった。さあどうする。スマホは圏外で連絡方法はない。一人はユーチューバーで、撮影用の機材を持っている。その中にいくつか使えるものがある。
_ 場面は、ほとんどが鉄塔の上だが、緊張感は持続され、ホラーのようだ。低予算で多分あまりCGも使わず、それでいて臨場感はすごい。
_ 高所は嫌いなので、クライマーの気持ちはよくわからないが。
_ アイルランド沖の孤島での話。パードリックは友人のコルムを毎日午後二時に誘ってパブでビールを飲む。それが突然拒否される。理由は、自分は老齢で、パードリックのような退屈な人間と話をすることで残りの人生を無駄にしたくないと。パードリックは全く理解できない。しかし、コルムの態度はかたくなで、これ以上話しかけてきたら、自分の指を一本ずつ切り落とすと。そして実行する。
_ 以後、和解はなく、破滅に向かって進んでいく。島の精霊の影響があるのかもしれない。
_ 好きだった人間を突然嫌いになることはある。理由は考えられないことはないが、決定的なものはない。しかし、一度そのような状態になると元には戻らない。fall in love があるように fall out of love もある。
_ そうなったら、無駄な努力はしないほうがいいだろう。パードリックは元に戻すことに一生懸命になり、結果的に関係を悪化させた。