_ NHKのBSプレミアムで録画したゴッドファーザー3部作を一挙に観た。
_ シチリアから一人で移民として米国にやってきたヴィトー・コルレオーネはオリーブオイルの輸入から始めて暴力を使ってのし上がっていく。やがてゴッドファーザーと呼ばれるようになり、一族はニューヨークのイタリア人社会でにらみを利かすようになる。やがて二代目ゴッドファーザー、マイケルの時代になり、彼はNYでは飽き足らなくなりラスベガスでカジノを経営するようになる。
_ ここでこの一族は誰かと似ていると気づいた。そう、トランプ一族だ。トランプは父親がドイツからの移民でNYで不動産業を成功させる。二代目ドナルドは業務を拡大しラスベガスなどでカジノを経営するようになる。
_ イタリアのマフィアはファミリービジネスとのことで家族や親戚で要職は固められる。トランプも彼の事業の要職は親族が占めているようだ。
_ イタリアのマフィアは兄弟でも殺しあうことがあるが、普段は仲が良く、特に子供は溺愛する。
_ マイケルは敵のマフィアを殺したあと、身を隠すためにシチリアのコルレオーネ村に滞在する。彼はイタリア語も流ちょうに話す。彼が子供を大切に思うにのは一つにはほかに信じられるものがないからではないか。
_ 移民にとって移住先は仮の世界であって永続する保証はない。自分は異端であって常に排斥される可能性がある。そのとき頼りになるのは親や子供しかいない。
_ もしトランプもファミリービズネスの追求が主目的であり、究極に守るべきは自分の子供だとしたら、アメリカを再び偉大にするというのも彼の真意ではなく、ファミリービジネスに支障がない限りそうすると言っているにすぎないことになる。
_ 変わったホラーだ。モンスターが盲目の老人なのだ。
_ 舞台は昔自動車産業で栄えたデトロイトの郊外のかつては高級住宅街だったと思われる廃屋が並ぶ一角の一軒家。そこにイラク戦争で負傷した退役軍人が住んでいる。
_ 登場人物はみな善良とは言えず、またそれなりに同情すべき事情もある。終わり方はすっきりとしない。続編を考えているのかもしれない。しかし、映画を観終わってからいろいろと考えさせることに成功しているので、あれでいいのだろう。続編を作っても納得のいく解決には至らないだろう。
_ 私は1975から76にかけてデトロイトに近いアンアーバーにあるミシガン大学で学んでいたが、あのころからデトロイトは危険だといわれていた。今のデトロイトは繁栄から見捨てられた廃墟になっているのだろうか。映画はそのように描いていたが。