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2006-10-12 日本の核武装 [長年日記]

_ 40年前、私は高校の友人たちと作っていた雑誌に「核武装中立論」という論文を載せた。これは当時、社会党が唱えていた「非武装中立論」を意識したものだったが、パロディではなく、真面目な主張だった。

_ その当時日本は、広島級原爆60発分のプルトニュウムを所有しており、ICBMに転用可能なロケット(東大宇宙航空研究所のミュー)を開発中であった、と私は書いている。40年前にすでに日本は核保有国になる力を持っていたのだ。しかし、日本を核武装しようという動きはその当時も皆無で、そのような議論をすることさえはばかれた。それは今日でも変わらない。

_ 万一日本が40年前に核武装していたらどうだったろう。多分アメリカ追従でずっとやってきた今の日本と比べれば核武装国日本の40年後ははるかに貧しい国になっていただろう。でも生活を犠牲にして軍事力を強化した結果、国際社会における日本の存在感は今よりもあり、核ミサイルはもちろんのこと、独自のミサイル防衛システムを構築していたかもしれない。何れにせよ、北朝鮮が核実験をしたくらいでうろたえることはなかったろう。

_ 技術的にみれば、日本は数ヶ月あれば核武装することが可能だという。外国では随分前から日本の核武装を現実的な可能性として考えている。この選択肢は日本が自ら真剣に考え検討すべきものだった。それを考えることさえ放棄したというところで日本は責任のある国家とはいえなくなった。今の日本は核武装する技術はあってもその覚悟はない。

_ 三島由紀夫は次のような予言をしている。

_ このまま行ったら「日本」はなくなってしまうのではないかという感を日ましに深くする。日本はなくなってその代わりに、無機的な、からっぽな、ニュートラルな、中間色の、富裕な、抜目がない、或る経済的大国が極東の一角に残るのであろう。(「果たしえていない約束ー私の中の25年」 サンケイ新聞 昭和45年7月7日)


2006-10-31 いじめ [長年日記]

_ 何度も書いたことだが、腹が立つので。

_ 今朝テレビのワイドショーを見ていたら、中2の少女が自殺した件で、その生徒が通う中学の校長の発言が二転三転したことが問題にされていた。レポーターが、その校長を無責任だと非難すると、3人のコメンテーターは異口同音に賛成した。あるコメンテーターは言葉のいじめが肉体的な暴力より酷い場合があるといい、いじめの定義が必要だと言った。連中は自分たちがいじめる側にまわっていることに気づいていない。

_ いじめの定義は「多数が少数を攻撃すること」、それだけだ。攻撃の理由は問わないし、どちらが正しいという価値判断はしない。ひとりの校長を全マスコミが非難すれば、それは立派ないじめである。校長に非があったとしても然り。誰にでも何がしかの非はあるし、多分ほとんどのいじめは、いじめられる側にも何らかの問題がある。そして、いじめる側は、自分たちは正しいことをしていると思っていることが多い。

_ 日本の社会はいじめ社会だ。学校でも、会社でも、あらゆる集団でいじめが行われている。それは日本人が付和雷同の遺伝子を持っているからだ。自分の意見がなく、人の顔色を見て、多数派と思える方に付く。何か問題があれば、我先にと多数派に走り、取り残された者がいじめの対象になる。

_ 今朝の番組では、丸山弁護士が、自殺には色々原因が考えられ、いじめが原因と認定することは難しいとまともな意見を言いながら、結局はなし崩し的に校長を非難する側に付いた。ここで校長を弁護したら自分がテレビから干されると思ったのだろう。

_ 米国の弁護士がよく使う言葉で devil's advocate というものがある。文字通り訳せば悪魔の代理人だが、議論の際に故意に反対の立場をとる人、の意味だ。たとえば、原告側弁護団が議論をしているときに、一人の弁護士が、自分が被告側弁護士だったらこういう議論をすると被告側の主張を代弁する。こうすることによって原告側の弱点がわかる。一方の側からだけ考えていても真実は見えてこない。

_ テレビに出る弁護士は devil's advocate の役を買って出るべきだ。どちらの側でも議論ができるというのが弁護士のプロたる所以ではないか。


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