_ 有川浩の原作の実写化。
_ 近未来の日本。メディア良化法に基づき公序良俗に反するメディアを排除しようとする勢力と図書館法に基づき表現の自由を守ろうとする勢力が激突する。両者はそれぞれの法律によって武装が許され一定のルールの下に戦闘行為が許可される。
_ 執行部隊であるメディア良化隊は中央政府に属し、図書館隊は地方自治体に属する。
_ 現実の世界であれば法律が矛盾すれば憲法に基づきどちらが正しいか最高裁が判断するところ、この世界では武力で解決しようとする。
_ 法律を楯にしながら互いに譲れないというのは案外今の世界の現実かもしれない。裁判所が判断するといってもその結論が正しいと思っている人は少ない。日本においてはそもそも裁判に対する関心が希薄で、最高裁のどの裁判官がどのような意見を持っているか知っている人はほとんどいない。私もしかり。
_ 弁護士として裁判を経験すると(もっとも私は訴訟弁護士ではないのでたいした経験はないが)判決がどうなるか予想がつかないことが多い。きちんと理屈が述べられ経験豊富な裁判官が裁けば正しいひとつの結論に到達すると思うかもしれないが、そうではない。交渉で解決せず裁判になった民事事件は多くの場合双方にもっともな言い分があり、どちらに勝たせてもそれなりに筋が通った判決が書ける。
_ 刑事事件は分からないが、民事では裁判官は真実の究明よりも書きやすい判決を書こうとしているのではないかと思うことがある。判決を仕事と考えた場合、短時間に多くの判決を書けた方がいいに決まっている。そのような裁判官が優秀であると見られているのは確かだ。
_ こう考えると、紛争を裁判ではなくて戦争で解決するのはそれほど変な考えではない。
_ ハロウィーンで仮装してtrick or treatと言いながら子供が近所を回りお菓子をもらうという行事が始まったのは1950年代のアメリカだとのこと。
_ 私は1957年に10歳でニューヨークに住むようになり、ハロウィーンの行事に参加した。私は浴衣を着ておもちゃの刀を刺してサムライの仮装をしているつもりでお菓子をもらい、結構人気があった記憶がある。今日本ではやっているハロウィーンはそれとは随分違うようだ。
_ ゾンビーに扮するのが多いようだが、あまり好きではない。そもそもゾンビーは日本の風俗になじまない。映画でもゾンビーは人気だが、死者が怪物化して襲い掛かってくる。しかし、死ぬ前はその肉体は親しい人のものだったりする。そのことは忘れられゾンビーは物として破壊の対象になる。
_ ゾンビーは血や変色した肌の色で死者であることが分かるようになっているが、それがなかったらどうだろう。攻撃的な人格に変容した認知症患者とどう違うのだろう。欧米の文化はそれらを究極的には同一とみなすのだろう。ナチスは精神病患者もガス室に送っていた。