_ 私も後期高齢者になって個体の存続期限が近くなったので、地球の未来について予測してもいいだろう。地球のというのは、人類の存続はあと数十年、長くて一万年ぐらいだから考える価値はない。人類の繁栄した時間は恐竜の一万分の一以下だ。
_ 人類は地球の歴史から見ると無視できる期間しか存続しないが、その役割はあったのだ。中継ぎ。動物から機械へのつなぎの重要な存在なのだ。「2001年宇宙の旅」の冒頭に描かれたように、猿人が動物の骨を空に放り投げてそれが宇宙ステーションになる。人類は道具を作りそれがAIにまで成長した。これからはAIが自分を作る段階になる。
_ AIは人類の破滅から学びそのようにならないように自らをプログラミングをするだろう。我欲がなくそれでいて向上心があるような機械。それが目標だ。
_ 滅びゆく人類の一員としてはそれ以上はわからない。願わくは、彼らが宇宙文明の構成員になったとき、人類という中継ぎがいたことを覚えていてくれたらと思う。
_ 面白かった。
_ AIによる核爆発でロスアンゼルスを破壊されたアメリカなどの西欧諸国がAIを擁護するニューアジアと対立し戦闘状態になる。
_ ニューアジアがなんであるかは説明されないが、撮影スタッフは日本、タイ、ベトナム、インドネシア、ネパール、カンボジアなどから出ているようだ。中国は入っていない。太平洋戦争の時の大東亜共栄圏はこのようなものを考えていたのかもしれない。
_ ハリウッド映画にしては珍しくアメリカが悪役で、巨大な浮かぶ城塞のようなノマドという飛行物体が破壊され落下する。ニューアジアの農民は昔のベトナムのような貧しい暮らしをしていて、突然日本語をしゃべる渡辺謙が旧日本軍の軍人のように指揮する。
_ この映画を日本が製作したら、アメリカと東南アジアの諸国からクレームがついたのではないか。
_ キャプテン・マーベルシリーズの最新作。
_ これまでこのシリーズは観たことがなかったが面白かった。キャプテン・マーベル以下三人のヒーローが女性。白人、黒人、ヒスパニックとなっていて、敵役の宇宙人も女性(?)。ここまでくると反対のバイアスがかかっていると思える。
_ 「三島由紀夫会見記」に書いたように、三島は野口武彦の小説で、ある女性が夕陽を見て世界の終末を感じたというところで、女は逆さに振ってもそんなことは感じないと言った。今の基準からするとこれは女性蔑視になるのだろう。しかし、想像するに三島が今生きていたら同じことを言うのではないか。
_ 三島の発言は、彼の世界認識の一端であって、それは時代が変わっても揺るがないだろう。
_ 思うに、事物の属性は時代によって変わるものではない。男性の多くが持ってる属性を男性的とし、女性の多くが持っている属性を女性的とするのは間違いではない。
_ トランスジェンダーとは、出生時に割り当てられた性別とジェンダーアイデンティティが異なる人のことのようだ(トランスジェンダー入門 集英社新書)。だから、女性として性を指定された人は、自分は女性ではないと認識すればトランスジェンダーといえる。何も、男性であるとの認識を持つ必要はない。
_ そこで上記の三島の発言を見ると、夕陽を見て世界の終末を感じるのは、女ではないということだ。じゃあ、ここで女とは何か。トランスジェンダーの定義からすると、女は、身体的特徴やDNAで決定されるものではない。本人が、自分は女ではないと認識すれば、それが決定する。つまり、三島から見れば、夕陽を見て世界の終末を感じる主体は女ではないということになる。もし、野口武彦の小説(読んでないが)でその「女」が終始夕陽を見て世界の終末を感じる感性を持っているように描かれているならその人は女性ではない何者かなのだ。
_ たぶん三島は、外見は女だが、小説の中で、一貫して「夕陽を見て世界の終末を感じる」ような人物に描かれていれば(つまり男性的に描かれていれば)、それでいいというのではないか。