_ よくわからないが面白かった。
_ 修行者狼介(窪塚洋介)は宗教家阿闍梨(千原ジュニア)の家で行方不明になり、狼介の彼女は暗殺者新野風(松田龍平)に狼介の捜索と阿闍梨の殺害を依頼する。しかし、その彼女は5年前に自殺していたことが判明する。上記三人はいずれもサイキックで、気を使って攻撃する。この描写はリアルで、西野流で日々目撃していたものと近い。
_ ストーリーは書いてもあまり意味がない。この映画の面白さは、三人の容姿、面相、眼力などにあり、文字での描写が難しい。
_ 狼介と新野は次元を超えた場所で対決する。それがどこかは不明だ。心の中だと阿闍梨は言う。ハリウッド映画なら、量子力学やマルチバースなどで説明しようとするのだろうが、この映画は一切科学的な話はしない。
_ 「天人五衰」を再読して、最後に本多が「この庭には何もない。記憶もなければ何もないところへ、自分は来てしまった」と思うところが心に残る。私も、小説の本多と同じくらいの年齢になってしまった。三島がこれを書いたときは、私は20代前半だった。あれから半世紀以上たったのだ。そして、私も「何もないところ」にいるような気がする。
_ 中学生のころ、ジョージ・ガモフの「不思議の国のトムキンス」などを読んで、量子力学の不思議な世界にあこがれた時から、そのような「次元を超えた」ところに真理があるのではないかと思っていた。そして、いまでも思っているが、一つも近づいていない。