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2003-10-11 シュワちゃんの野望

_ シュワちゃんとは同じ1947年の生まれで私のほうが2ヶ月弱年上だ。だから彼の略歴を見ると同じ年齢の私が同じ年に何をしていたか思い出す。

_ それはさておき、シュワちゃんほど成功したスターがなぜ政治家を志すのか考えてみよう。

_ 政治家とスターは似ていなくもない。シュワちゃんの演説している姿は映画の一場面のようでもある。もっとも彼は政治家の役を演じたことはなかったと思うが。

_ アドルフ・ヒットラーやフィデル・カストロは何時間も休まずに演説をしたという。その記録フィルムを見ると自分の演技に酔っているかのようなパーフォーマンスが印象的だ。

_ ヒットラーの演説というと、チャップリンの「独裁者」を思い出すが、白黒の画面で見るとどちらが記録映画か判然としなくなってくる。二人とも自分の言葉とパーフォーマンスによって人の心を動かそうとし、その意味ではチャップリンも政治家だった。

_ そもそもスター(とまではいかない役者も)は観客を必要とし、自らの演技で観客の心を捉えようとする。それは政治家が権力で人を動かすのに似ているが、スターの力には限界がある。権力が、人が自ら欲しないことを強制する力だとすると、スターの力は権力ではない。

_ 多くのスターはそれで満足し、虚像として人の夢を支配することをもって足るとする。しかし、何人かのスターはそれでは満足せず、素の自分として人を動かしたいと思う。

_ スターは現代の偶像であり、大衆に影響を与える。でもスターは作られた偶像でありそれをスター自ら知っている。だから頭のあるスターは演出家という役者を動かす仕事に就きたいと思う。それほど頭の良くないスターは政治家というそれほど頭脳を必要としない仕事に魅力を感じる。

_ 政治家志望のスターの考えていることは概ねこんなものだと思うが、なかにはもっと大きな野望を抱くスターがいる。それは、自らを演出家兼主役とし、世界を舞台に芝居をしようと思う者である。

_ 普通の芝居では、役者は決められた舞台の上で決められた役を演じる。政治家になったスターはこれとは異なり、自らの役を決め、場合によっては舞台を自分で作ることも出来る。戦争という舞台で自分が一番輝くのであれば、その舞台を作り出すことも不可能ではない。

_ シュワちゃんは米国生まれではないので、大統領にはなれない。だから「ターミネーター」の世界が出現することは多分ないと思うが。


2007-10-11 朝青龍と沢尻エリカ

_ この二人の騒動には共通点がある。

_ ・刑事事件でもないのに過剰なバッシングがあった。

_ ・問題となった行為だけでなく過去の態度も非難の対象になった。

_ ・外人とハーフで日本社会では異分子。

_ 二人の行為は最近の「空気が読めない」に倣って言えば「空気を乱す」ということか。農耕民族である日本人にとっては共同作業が大事で、田植えは一人のスーパーマンがいてもはかどるものではない。狩猟民族であれば個人の力が大きく評価される。

_ 日本では個人が突出することは嫌われ、強い横綱でも協調性がないと非難されるし、女優も演技力より人柄で評価される。

_ 日本は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と持ち上げられたあたりから低迷していて、中国にもインドにも追い越されるだろう。戦後の復興を成し遂げるには協調的な人間は力を発揮した。しかし、自分が先頭に立ったとき必要なのは個性的で独創的な人間なのだ。

_ この二人と安倍元首相を比べてみると面白い。安倍のやったことは、二人の行為に比べてるとはるかに日本に損害を与えている。でも、瞬間的に非難されただけで今は誰もそれを口にしなくなった。安倍のやったことは許しがたいが所詮彼は弱い人間だったとういうことで皆納得しているようだ。社会が許さないのは、行為の大小にかかわらず、秩序に歯向かう姿勢なのだ。

_ このように一般論としては考える。でも、今回従来のバッシングのケースとちょっと違うと思ったのは、沢尻を擁護する人が意外と多かったことだ。面白かったのは「アッコにおまかせ」で勝俣が沢尻だけを非難するのはおかしいと和田に執拗に楯突いていたことだ。ワイドショーでも結構意見が分かれていた。これが何を意味するのかまだ分からないが、これまでの人民裁判的なバッシングが変わっていくのであれば結構だ。


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