_ 不審船との銃撃戦の話題で盛り上がっている。ニュースキャスターも、ワイドショーのコメンテーターも、政治家も、異様に気分が高揚している。みんながやっている「戦争」というゲームにやっと参加できたからか。
_ 日本人は娼婦と軍人の役が似合うと言われるが、ギャルから人妻まで総娼婦化している元気のいい女性に比べて日本の男はサエナイ。企業戦士とか見栄を張っていた時代もあったが、所詮マガイモノでしかなかった。
_ その男たちがやっと本当の戦闘に出会えた。負傷した巡視船「あまみ」の乗組員は毅然としていたし、22時9分を「フタフタマルキュウ」と言う第十管区海上保安本部の職員もプロっぽく頼りになりそうだった。特攻隊が好きな首相にも、ブッシュの脇役的立場から脱しようという意欲がみられた。
_ ひょっとしたら、日本の経済危機に対する特効薬は「戦争」という劇薬なのかもしれない。
_ 敗訴という結果になったが、納得のいかない判決だ。
_ 日経新聞にも引用されていたが、三村裁判官は「「七人の侍」を映画史に残る金字塔たらしめた脚本の高まいな人間的テーマや高い芸術的要素は、「武蔵」の脚本からはうかがえない」と言って、これを「「七人の侍」の本質的特徴を「武蔵」から感得することができない」理由の一つとしている。
_ その理屈でいくと、志が低いか、無能な者の作った劣悪な贋作は盗作にはならないが、原作に尊敬の念をもった有能な者が、原作に近い芸術的な価値のある作品を作った場合は盗作になるということになる。
_ 著作権とは離れるが、これをバッグに当てはめて考えてみよう。
_ 「ルイ・ヴィトン風」と宣伝されたバッグが二つあったとする。一つは使い始めてから三日で穴があいた。もう一つは品質が良く本物に近い満足感が得られた。何れもニセモノだが、どちらがより非難に値するだろうか。品質の悪いニセモノは高品質という要素までは真似ていないから許されるという議論は通るだろうか。
_ 「武蔵」は放送前のテレビ欄に「「七人の侍」風アクション」と紹介されていた。確かに「七人の侍」の有名なシーンに似たシーンがいくつもあった。しかしそれは無理に持ってきたもので、「七人の侍」風に見せるだけの意味しかなかった。感動を期待した人は失望し「高まいな人間的テーマや高い芸術性」などなく、形だけ似せたにすぎないと思った。それが幸いしてか「武蔵」は盗作ではないとの判断が下った。下手な真似をして芸術性がなければ許されるということだろうか。
_ 決勝戦は去年以上に白熱し、票が分かれた。去年はチュートリアルが満票を得た。
_ サンドウィッチマンは前にも何回か見たことがあり、いい芸を持っていると思っていた。今回は敗者復活戦で勝って上がってきた。三組が残った最終決勝では他の二組もいい出来だったが、私はサンドウィッチマンが勝つと思った。録画していたのでもう一度見たが、内容が分かっていても笑えた。
_ 今回の残った三組はM-1の傾向をよく表していて、スピードの競争だった。4分間の持ち時間の中で何回笑わせることが出来るかの勝負だ。だから、ストーリー性とか余韻とかは切り捨てられる。ザブングルなどはもっと時間があれば面白いのに残念だ。つい最近見た、切れる自転車泥棒は傑作だった。今回のネタは一番つまらなかった。
_ 今回は上位に来なかったが、私はダイアンが面白かった。理解できないやり取りがギャグの中に挟まれることによって異常な世界が出現する。シュールだ。でも一般受けはしないだろうな。