_ つまらなかった。
_ 原田監督の技量というより、あの事件そのものがつまらない事件だったのだ。私も当時テレビにくぎづけになっていた一人だが、それは結末がわからなっかたからだ。分かってみればどうっていうことはない。
_ 歴史的にみても、すでに勝敗がついている試合の駄目押しの1点のようなものだし、あの直前にあった榛名山のリンチ殺人のように凄絶な人間ドラマがあったわけでもない。だから原田監督は警視庁と長野県警の主導権争いに焦点を絞ったが、この争いも会社の部門間の争いのようでミミッチイ。正義とか真実とかの高い次元の争いではなく、単なる縄張り争いだ。その中で役所広司演ずる佐々がカッコよく立ちまわる。しかし彼も能吏という以上誉めようがないつまらない人間だ。
_ 要するに、馬鹿な田舎の役人と中央から来た外国帰りのエリート(それを鼻にかけているイヤミな)の低次元な争いの物語で、これが日本だと言われれば納得しないでもない。
_ 考えさせられるスプラッター映画。
_ オスカー女優エリザベス(デミ・ムーア)はサブスタンスという薬物で若く美しい肉体を得ることができた。しかし、使用法には条件があり、一週間交代でしか現在の肉体と若い肉体は使えない。
_ 若い肉体を得たエリザベスはスー(マーガレット・クアリー)と名乗り瞬く間に人気者になる。
_ やがてエリザベスはスーに嫉妬することになり、スーはエリザベスが邪魔になる。そこから悲劇が始まる。
_ スーはエリザベスの能力と経験値を有するが、二人は別人格のようだ。スーが活躍している間エリザベスは眠っている。スーが眠っている間は、エリザベスは暇を持て余し、自堕落な生活をする。
_ エリザベスがスーの活躍を自分のことのように喜べれば、不満はなかったのだろう。しかし、子供の成功を喜ぶ親とは違うのだ。
_ エリザベスは50歳という設定だが、デミ・ムーアの実年齢は64歳とのこと。それが、裸体を晒すが、とてもその年齢には見えない。でも40歳以上若いスーと比べると見劣りする。
_ 映画は、サブスタンスの誤用によってエリザベスの肉体が急激に老化していくところを特撮、CGで描く。そして、エリザベスとスーは一体化してモンスターになる。
_ 考えてみると人間の一生なんてこんなものだ。三島が、人生は真っ逆さまの頽落だと言っていたが、三島ほどの想像力を持たない一般の人間は、そんな恐ろしい未来が待っているとは考えない。人間は、どこまでもオプティミスティックなのだ。