_ 最近の堀江報道を見ていると不愉快になる。
_ 例えば、民主党の岡田前代表との話し合いの際、堀江が「国民はバカだ」との発言を繰り返し、それを聞いた岡田は、このような人を民主党の候補者には出来ないと思ったとのこと。マスコミは岡田の判断を賞賛する。(そもそも、候補者選考の際のやりとりを公表するのは守秘義務違反だろう。それも、堀江が反論出来なくなってから公表する卑劣。民主党の一方的な主張をそれが争いのない真実であるがごとく報道するマスコミの欺瞞。)また、堀江の「人の心は金で買える」という言葉をあたかも堀江の全人格を象徴するかのように取り上げ非難する。
_ 悪人のように振る舞う「偽悪者」と呼ばれる人がいる。偽悪は偽善の反対語で、偽悪者はうわべだけの善人より悪人と見られた方が心地よいタイプの人間だ。人の心が金で買えるかといえば、社会道徳的には否である。しかし、現実をみると、そのような例が少なくない。国民がバカだということも、歴史をみれば、多くの該当するケースに当たる。かように、現実は単純ではないが、偽悪者は人間の悪の一面に光を当て、自分の視点を鮮明にする。偽悪者は往々にしてナイーブで、人を騙す偽善者になることを恐れ、自分が悪であるとの警告を発し、他人が不用意に近づいて傷つかないように配慮する。
_ 私は、堀江の本を読んだことはないが、時々テレビを見ていて、この人は正直な人だと思った。醜悪な偽善者ばかり登場するテレビの中では堀江の言葉は新鮮だった。
_ マスコミは今堀江を非難罵倒するが、彼を信じていた者にとって、今回の事件は裏切りではなかったはずだ。金が全てだと言って、法の隙を突こうとした者が、体制の反撃を受けることは当然予想されたことである。堀江が本物であるかは、彼のこれからの戦いで証明される。
_ さて、人の心は金で買えると言った堀江であるが、本当は金で買えない心を求めていたのではないか。無一文になった堀江が、金では買えなかった宝物を手に入れるというのは、ちょっとメルヘンチックな話だが、そんなことがあればいいと思う。
_ この原稿は昨日書いたが、今日の日経朝刊にコラムニストの田勢康弘氏が同旨のことを書いていてビックリした。