_ あれが著作権侵害になるか日本の裁判所が判断したらたぶんならないという結論になると思う。NHKの「武蔵」が「七人の侍」の著作権(翻案権)を侵害しているかが問われたケースでは東京地裁が「武蔵」からは「七人の侍」の本質的特長が感得できないといい、模倣ではないということになった。「感得」できないとは要するに感じ取れないということだが、あのときは週刊誌もテレビも一斉に似ていると騒いだのだが、裁判所の感じ方は違ったようだ。
_ 感得できるか否かは主観の問題で、裁判所の感性はおかしいと言っても始まらない。結局裁判所は先に結論を出してその理由付けとして「感得」という言葉を使ったのだ。
_ 確かに、簡単に似ているとして著作権侵害を認めると、自由な表現が制約される。「武蔵」の場合はともかくエンブレムは図形を組み合わせた作品なので必然的に似てくる。それをいちいち侵害としたら、先に創作した者が独占権を持つことになる。商標のように登録が必要なく保護期間も長い著作権にそのような力を与えるのは確かに問題が多い。