_ レイプの後から前へと時間を遡っていく。未来は決定されていると書いている本の話や予知夢が運命が変えられないことを示し(映画の原題は「IRREVERSIBLE」)、最期の画面に「時はすべてを破壊する」というフランス語が表示される。
_ 映画自体はさして傑作とも思えず、やたらカメラを回す撮影は気分が悪くなった。もっとも私はモニカ・ベルッチが目当てなので満足した。
_ モニカ・ベルッチをはじめて見たのは1995年のフランス、イタリア、スペイン合作の映画「アパートメント」で彼女はロマーヌ・ボーランジェと共演していた。この映画はたまたま近くのTSUTAYAでめぼしい作品を観尽してしまったので、サスペンスの棚の「あ」から観ていこうと思って手に取ったものだった。あまりの美形に感動して他の出演作を探したが、本職はモデルなのでコッポラの「ドラキュラ」に脇役で出ているくらいだった。
_ その後「マレーナ」に主演して日本でもメジャーになった。
_ 今回のモニカはやはり美しかったが、惜しげもなくさらされる肢体は20代のそれではなかった。「時はすべてを破壊する」という言葉は残酷な真理だ。
_ 「荒野の七人」のリメイクで、従って「七人の侍」のリメイクでもある。
_ なかなかよくできていて、特に戦闘シーンは迫力があった。しかし、七人のサムライが村人のために集まってくる動機がはっきりとせず、なんとなく戦いが始まってしまうように感じる。この点は「七人の侍」ぐらいの長尺の映画でないと描けないのだろう。
_ この映画の製作は「ドキュメンタリー」に掲載している「「七人の侍」日米訴訟合戦」に書いた和解契約の条件に従っている。和解の結果リメイク権は分割され、西部劇は基本的にアメリカ側が製作権を持っている。