_ ネタバレあり。
_ 「スターリングラード」はジャン=ジャック・アノー監督作品にしてはボケたものだった。アメリカ、イギリス、ドイツ等の合作だが印象としては典型的なハリウッド映画。ソ連兵もドイツ兵も英語を話し、それだけでうそっぽくなる。ストーリーは二人の狙撃手の戦いに三角関係がからみ最後はご都合主義のハッピーエンド。一昔前の西部劇にあるようなお話でスターリングラードに舞台をとる必要はなかった。史実に基づいているそうだが、第二次世界大戦で狙撃手がそれほど重要な役割を演じたこと自体信じ難い。スターリングラードの特殊性だったのだろうか。それだったらその背景が描けていないように思う。
_ この映画だけの問題ではないが、狙撃を扱った映画には必ず照準器でねらいを定める場面がある。そこで獲物は望遠レンズに捉えられ、十字の印しの真中にきてそこで引き金が引かれる。しかし、昔ちょっとエアーライフルをやった経験からすると的はレンズの中で上下左右に動き回り、決して静止しない。これは人間が銃を構えている以上銃が固定されないためで、優秀な狙撃手はその動きを最小限にして命中させるのだと思う。映画では的は静止しておりあれでは誰にでも命中させられるようにみえる。
_ 「スパイゲーム」は荒唐無稽な話だった。最後に米軍が中国の刑務所に捕らえられているブラピを救い出すが、現実にあんなことをしたら米中間の全面戦争になる。最近のアメリカ映画には脳天気なものが多いが心配である。
_ 「ムーランルージュ」は楽しい作品だった。映像がきれいで音楽もよかった。でも私がニコール。キッドマンだったらあんな頼りない作家ではなく金持ちの男爵のほうを選ぶのにと思った。
_ 「アメリ」はギャグについていけなかった。たけしの「HANABI」についても同様に感じたが、無理に笑いを取ろうという姿勢にしらけてしまう。
_ 「サテリコン」を久しぶりに見た。フェリーニの1969年の作品で傑作。ローマの文化が繁栄の極に達した頃の物語。美しい男が沢山出てきて、ホモ映画のようにもみえる。でも多分本当のホモはあのような一般受けするような美青年は好まないだろうから違うか。三島由起夫はこの映画をみたのだろうか。