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2003-02-06 コロンビアの事故

_ 日本人宇宙飛行士向井千秋さんは「3度目の飛行の機会があれば乗ってみたい」と言っている。今回の事故の結果、スペースシャトルによる死亡事故の確率は多分100分の1ぐらいになっただろう。それでも行くというんだから宇宙飛行士は勇敢なんだと感心した。でも、考え方によっては、それほどでもないかもしれない。

_ 私の高校のクラスは卒業から30年以内に4人が死んでいる。これはクラスの人数の約10%で、3年間では1%の割合になる。この割合が一般的だと仮定して、もし向井さんの次のフライトが3年先だとすると、それまでに彼女が宇宙飛行と関係なく死ぬ確率は1%ということになる。つまり、向井さんが待機期間中に死ぬ確率と宇宙飛行で死ぬ確率は同じなのだ。

_ 今回のような事故に遭遇して人がよく犯す誤りは、死を色で言えば真っ黒と考え、生を真っ白と考えることだ。本当は生の中にも死は混在していて、真っ白ということはない。死と生の違いは黒と灰色の違いなのだ。

_ 無事生還した宇宙飛行士も1ヵ月後に交通事故で死ぬかも知れず、いずれにせよ永久に生きる人はいない。生きているということは、まだ死んでいないということでしかなく、シャトルの打ち上げ時の傷がその2週間後の運命を規定したように(と現在では言われている)、我々もいずれ致命的となる傷をどこかに持ちながら生きているのだ。


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