_ 最近多重人格について続けて書いているので調べてみた。と言ってもネットを検索した程度だが。
_ 解離性同一性障害というのが正式な名前。幼児期の虐待、特に性的虐待、が原因となることが多い。複数の人格は、年齢、性別、性格、趣味、経歴、能力が違うのが通常で、国籍が違って外国語を流暢に話す人格が出現することもあるらしい。食事の好みが異なるだけでなく食物アレルギーが特定の人格にだけ存在したりする。
_ 主人格と交代人格に分けられるが、何をもって主人格というのかよく分からない。交代人格が出現するときは主人格は意識が無く、突然時間が経過して買った覚えの無い品が家にあったりする。交代人格が存在することを知らない主人格もいるが、人格間で交流がある場合もある。
_ 多重人格者間に付き合いがある場合、双方の交代人格が入れ替わったという話がある。大林監督の「転校生」のシチュエーションを複雑にした形か。
_ 多重人格の問題は、考えていくと哲学的な問題になっていく。性的同一性障害の場合、女であると意識している人が男の身体を持っている場合、その女であるという意識を尊重するのが最近の傾向である。では、少女の身体に中年男の人格が入っていた場合、どう扱えばいいのだろう。身体に合わせて人格を変えたり消したりするのが正しいのか。人格が交換できるとなると、もっと複雑な問題になる。自意識が移動することになる。
_ 多重人格が存在することについては医学上は完全に認められているようだ。しかし、裁判で多重人格が問題になったことはほとんど無い。宮崎勤事件の精神鑑定書で多重人格への言及があったが採用されなかった。私は最近の異常な事件の多くが多重人格者の犯行ではないかと思っている。しかし、それを認めた場合、多くの人格のうちの一つが犯した犯罪をどうやって処罰するのか。多重人格で無罪になるのだったら皆多重人格を装うことになる。今の医学では、偽装と真性を区別できないだろう。
_ マスコミも、多重人格のアプローチをとれば説明できる犯罪があってもその方向で追求しない。タブーなのだろう。多重人格を認めていくと今の法体系は崩壊してしまう。刑事だけでなく民事も。別人格がした契約だと言って責任を負わなくてよくなったら契約の意味がなくなる。
_ 我々は今の文明社会は科学に基づいた正しい世界だと信じている。しかし、その確信は魔女狩りをしていた中世の人々の確信とそれほど違わないのかもしれない。