_ キャスリン・ビグロー監督作品。Netflixで配信予定の作品の先行劇場上映。傑作だ。
_ 東アジアからICBMが打ち上げられる、いつものように垂直に上がって日本海に落ちると思っていたが、水平飛行に移り米国に向かう。衛星が発射時の情報を取得できなかったので誰がやったのかわからない。迎撃しようと試みるが失敗する。ICBMはシカゴに向かい、着弾して核爆発が起きた場合の死者予想は1100万人。
_ 一発のICBMでも世界の破滅をもたらしうる。大統領は、核攻撃を受けた時の報復マニュアルを持っていて、説明によると、報復は三段階に分かれていて、限定的、中程度、全面報復となり、俗に、レア、ミディアム、ウエルダンと呼ばれる。
_ 作品は、ミサイル発射の確認から到達の直前の18分を三部に分けて描写する。かかわる人間のさまざまな視点から真相がわかってくる。しかし、大統領が悩んだ末どのような結論に至ったかまではカバーしない。
_ 核武装が核戦争抑止に役立たないときがあることがわかる。しかし、そこから核の廃絶までは遠い。第二次世界大戦後80年間、核保有国が侵略されたことはない。人類史上新兵器が80年間使用されなかったことはない。これまでは抑止は存在していたのだろう。後世の歴史家はそれを奇跡というかもしれない。
_ 核兵器が廃絶される可能性は限りなく少ない。ありうるケースは核兵器を無力化する新兵器が開発されそれを一国が独占する場合だ。AIがそれを可能にするかもしれない。もっとあり得るのは、核を撃ち合い世界が石器時代に戻るというシナリオだ。