_ 「千と千尋」が大当たりした理由はそのエロティシズムにある。宮崎駿がロリコンだという人がいるが、私はその方面はよくわからないのでここでは立ち入らない。いずれにせよ、「千と千尋は大衆的な支持を得たのであるから、そのエロティシズムは大衆が受け入れることのできる性格のものだったはずだ。
_ そもそも、舞台となる湯屋は江戸時代には売春が行われていた場所である。湯女ーと映画名の中で呼んでいたーは売春婦だった。映画の中で湯屋に来る異形の神様はどうも皆男性のようだった。彼らは派手なイルミネーションのついた船で大挙してやってくる。
_ 萩野千尋は、親がサラ金で借金を作り家計が苦しかったこともあり、学資くらい自分で稼ごうと不思議の街歌舞伎町にやってきた。あるお店に「ここで働かせてください!」と言って入ったところ、女主人に「千」という源氏名を与えられて働くことになった。千は皆が嫌がる汚い客(オクサレサマ)にも一生懸命奉仕し感謝され、店の売れっ子になっていった。ストーカーのような客(カオナシ)もいて、金を積んで千を誘惑しようとしたが、千は「私のほしいものはあなたには絶対にだせない!」と言ってはねつけた。女主人にこき使われているハンサムなボーイさん(ハク)との恋もあった。やがてお金をためた千は風俗を引退し不思議の街を後にした。千尋が不思議の街で働いていたことは外の世界の人は誰も知らず、千尋にとっても夢の中の出来事のように思える。
_ そう、「千と千尋」は風俗嬢の物語だったのだ。この映画が海外でどう受け入れられるかには興味がある。