_ 最近丸ビルの35階と愛宕グリーンヒルズの42階で晩飯を食べた。いずれも夜景が評判の店でとくに愛宕グリーンヒルズは素晴らしかった。一年半ほど前に建ったビルで私は初めてだったが、この数ヶ月で夜景は随分と変わったに違いない。180度の視野の中に左から丸の内、銀座、汐留、お台場の観覧車とレインボーブリッジ、東京タワーと遠く右手には品川の超高層が見える。
_ 東京の超高層ビル群は少し前までは新宿だけだったのが、今はそこらにある。
_ 30年近く前、アメリカ留学をしていた時、父の関係で東銀のニューヨーク支店長のお宅に御邪魔したことがあった。そこはマンハッタンの50階以上あるコンドミニアムの最上階だった。リビングルームに通されると、目の前に手が届くほど近くにオレンジ色に輝くエンパイアステートビルがあった。この時の光の海の中に聳え立つエンパイアステートビルの姿は、「未知との遭遇」のUFOの母船と共に、私にとって最も忘れられない光の造形物だった。
_ 30年の歳月を経て東京も「100万ドルの」といえるような夜景を誇れるようになったようだ。東京の夥しい光と巨大なビル群を見ながら、これが衰退しつつある国家の首都なのだろうかと考えていた。高層街のレストランはいずれも満席で、バブルの頃と違って、社用族ではなく若いカップルや家族連れでにぎわっている。このギャップは何なのだろうか。