_ 声優のアイコを名乗り昏睡強盗をした事件につき10年の判決が言い渡された。
_ 裁判所は被告人(神いっき)が多重人格者である可能性は認めたが、犯行時には主人格である神いっきが単独で犯行に及んだと認定したようだ。神は生物学的には女性だが、性同一性障害で男性として暮らしていた。犯行時は女装して声優のアイコなどと名乗っていた。
_ 弁護側は犯行時は別人格のミサキという女性の人格が表に出ていて主人格の神とは意思の連絡がなかったと主張した。しかし、裁判所は、犯行時に神名義でメールを送っていたことから神の人格が犯人だと認定したようだ。
_ 事実認定については、裁判記録を見なければ詳細はわからないが、裁判所が多重人格の可能性を認めたなら、無罪を言い渡すべきである。
_ 多重人格は一つの肉体の中に複数の人格が存在している状態であるが、その一つの肉体を拘束すれば、犯罪に関与していなかったほかの人格をも拘束することになる。多重人格が可能性の段階であっても、無実の人格を罰するおそれがあるなら無罪にしなければならない。
_ 密室で一人が殺され、その部屋には犯人の可能性がある4人がいたとしよう。でも4人のうち誰が犯人であるかわからない。その場合には4人とも無罪になる。同じことだ。