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2004-01-17 ミスティック・リバー

_ クリント・イーストウッドの監督作品で彼の最高傑作とも言われはじめた映画である。

_ 11才のジミー、ショーン、デイブが路上でホッケーをして遊んでいる。そこを通りかかった2人の中年男がデイブを車に乗せて連れ去る。彼は4日後に逃げるが、人生を変えてしまうような体験をする。そして25年後、3人はある殺人事件を機に再会し、あの日の出来事が蘇る。

_ 我々はデイブと同じように「あの事件さえなかったら」、「あの時違う行動を取っていたら」など自分の過去に if を求めたがる。過去の1つのコマが違っていたら今の自分はこんなではなかったはずだ。多くの場合、この回想は悔恨を伴う。

_ しかし、本当にそうだろうか。デイブではなくジミーかショーンが車に乗ったという過去はありえたのだろうか。この映画はその疑問には答えない。

_ この映画は一見25年前の事件にこだわっているように見えるが、本当はそんなこだわりは無意味だといいたいのではないか。あの事件がなかったとしても、デイブは同じような人間になっていたのではないか。あの事件がなかったとしても別な事件が起き同様にデイブを支配したのではないか。ギリシャ悲劇のようにどのように逃げても運命はデイブを捉えたのではないか。

_ そして終章で運命はジミーをも捉える。錯誤により彼は取り返しのつかないことをしてしまう。彼は被害者でありながら心ならずも加害者になり、チェスのチェックメイトのように怒りによる行動もままならない窮地に追いこまれる。しかし、妻の言葉(それは悪魔の助言かもしれないが)によりジミーは復活する。彼は運命をまるごと肯定してしまったのだ。全てはなるようになったのだ。他に可能性はなかった。

_ 映画ははなやかなパレードを見るジミーの家族、ショーンの家族そしてパレードの中の息子を見守るデイブの妻を映して終る。

_ ニーチェの永劫回帰を思った。


2020-01-17 パラサイトー半地下の家族

_ とても面白かった。

_ 客観的には悲惨で出口のない状況を描いているが、スリルあり、ユーモアありの娯楽作品になっている。

_ 出だしはあり得ない設定が続きどうなるかと心配したが、途中から奇想天外な話になり多少の不自然さはどうでもよくなる。ポン・ジュノの作品は「殺人の追憶」と「グエムルー漢口の怪物」を観ているがいずれも芸術的な娯楽大作で、実写でこのような映画を撮る監督は今の日本にはいない。

_ 日本映画は芸術的な小品にはいいものがあるが、娯楽大作で見たくなる映画はここ30年ぐらいない。昔は「七人の侍」も娯楽大作だったが、どうして日本映画はこんなにダメになったのか。


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