_ 戦争は男が好きな遊びだ、という映画。戦争の麻薬的な魅力を描く。
_ ビグロー監督は、この映画をイラクで戦うwomen and men に捧げるとアカデミー賞受賞スピーチで言ったが、映画には女性の兵士は登場しない。
_ この映画には、戦争を正当化する「正義のための戦争」、「自由のための戦争」、「人民解放のための戦争」とかいう偽善的な言葉は出てこない。戦争はただ面白いのだ。
_ ジェームズ二等軍曹は、職人が細工物をつくるように、細心の注意をはらって爆発物を処理する。職人と違うのは、一つ一つの作業に命がかかっているところだ。
_ 砂漠での銃撃戦は美しかった。双眼鏡でやっと見える敵と長い間対峙し、狙撃する。命中したときの喜びは狩猟に優るだろう。狩猟とは違って仲間も何人か死んだが。敵に対する同情はない。野鳥や鹿に対して同情しないと同じことだ。
_ ジェームズがアメリカにいたときの短いエピソードが挟まれる。玩具で遊ぶ幼い息子に、子供のころ楽しかったものが大人になるとだんだん無くなってくる、今の自分には一つしか残っていない、と語りかける。
_ 最後の場面は、新しい部隊に配属され、防護服を着て、嬉々として仕事に臨むジェームズが映される。
_ 女性監督が、男の世界の真実を見抜いているという皮肉。
_ 120年かけて移住先の惑星へ向かう宇宙船。5000人の乗客がいたが、そのうち一人が120年続くはずの眠りから90年早く目覚めてしまった。
_ 面白い設定で、途中まではよくできていたが、後半はおおあまのアメリカ的ラブロマンスでがっかりした。
_ 「2001年宇宙の旅」や「惑星ソラリス」のような神秘的な展開を期待していたのだが。
_ HUMAXシネマで観た。面白かった。
_ 成田凌がさえない予備校教師の大野で、清原果那が自己主張が強い女子高生。テーマは何が普通で何がまともじゃないのかということ。結構難しい。
_ 日本人には普通願望があって、自分が普通でない(まともでない)ことをとても気にする。その結果同調性が強くなり自分がなくなる。
_ 日本人に限らず、人間には、人に同調する人間、人を同調させる人間、どちらでもない人間の3種類がありそうだ。最後の第3種はさらに、自分の意志で同調しない人間(3-1)と同調したいけれどできない人間(3-2)に分かれる。
_ 映画の大野は、3-1が大半だが3-2の意識もあるキャラだ。
_ 自分のことを考えてみると、3-1と3-2が半々というところか。第1や第2類型ではない。いや、外見的には第1類型かもしれない。他人と話すときは、自己主張はしない。特に大勢で話すとき。そのような場で、自分の主張(たいていくだらない)を長々話す無神経な第2類型には辟易する。その間他人の時間を浪費していることをなんとも思わないのか。
_ 私のような人間にとってはコロナで人と会わなくていい世界はすばらしい世界だ。普通の人間と普通の会話をして時間を無駄にすることがない。