_ 昨日ニューオータニのとんかつ屋でカウンターに腰かけて牡蠣フライ定食を食べながらワールドシリーズ第7戦を見ていた。9回裏クローザーのリベラがマウンドに上がった。
_ 定食を食べ終わった頃、リベラは1点を取られ試合は2-2のタイになっていた。リベラは死球を与え、一死満塁になった。その時リベラの顔には何とも言えない表情が浮かんだ。
_ 恐れ、苦悩、諦め・・・何れでもない。重く強い潮流に捕らえられ、意図する方向に身体が動かない。そして、流れが向かう先に死を認めた時人は何を思うか。静かな悲しみ・・・
_ 敵地での9回裏のクローザーには、悲劇の条件が揃っている。点を取られたらゲームオーバー、負けだ。先発投手だったら、次の回に味方が点を取ってくれるかもしれない。9回裏のクローザーは違う。味方にどんな強打者がいようとも、点を取られればその出番はない。リベラは孤独なボクサーだった。そして敵は塁を埋め、更に続々と登場する。
_ テレビの音は店の雑音で掻き消され、無声映画を見るようだった。小さなテレビの画面は、大観衆が立ち上がり、叫び、拍手をし、津波のようにリベラに襲い掛かる様子を捉えていた。リベラは、抗し難い流れの先に何があるかを確かに見たのだろう。
_ 終止符は、劇的なホームランではなく、平凡なポテンヒットだった。それは悲劇の終幕というより、巷のありふれた死のアナロジーだった。リベラの姿はテレビの画面から消え歓喜の祭りだけが延々と続いていた。
_ 広木隆一監督作品。
わからない。もう一度地下に入って地図を見たらはるか遠くにCがあった。結局JRを降りてから25分かかってたどり着いた。
_ さて、映画はそれなりに面白かった。東京にあこがれて出てきた人と田舎に残った人の人間模様を描く。新宿で迷った人間としては、東京のいいところは、雑踏の中を25分も勝手に迷っていられるというところか。誰も他人に関心を持たず、すれ違っていく。
_ 田舎に住んだことはないが無理だと思う。
_ 面白かった。
_ AIによる核爆発でロスアンゼルスを破壊されたアメリカなどの西欧諸国がAIを擁護するニューアジアと対立し戦闘状態になる。
_ ニューアジアがなんであるかは説明されないが、撮影スタッフは日本、タイ、ベトナム、インドネシア、ネパール、カンボジアなどから出ているようだ。中国は入っていない。太平洋戦争の時の大東亜共栄圏はこのようなものを考えていたのかもしれない。
_ ハリウッド映画にしては珍しくアメリカが悪役で、巨大な浮かぶ城塞のようなノマドという飛行物体が破壊され落下する。ニューアジアの農民は昔のベトナムのような貧しい暮らしをしていて、突然日本語をしゃべる渡辺謙が旧日本軍の軍人のように指揮する。
_ この映画を日本が製作したら、アメリカと東南アジアの諸国からクレームがついたのではないか。