_ 香田さんの行動を、日本の若者にありがちな世の中を甘く見た愚挙だと考えていた。
_ しかし、昨日DVDで「コールドマウンテン」(アカデミー賞6部門ノミネートの南北戦争を背景にしたラブロマンス)を観て、なにか彼の気持が分かるような気がした。
_ 日本人の多くは、彼のような若者もまた私のような50代も、戦争を体験したことがない。それは幸せなことではあるが、反面何か大事なものを見ていないという欠落感がある。戦争はたくさんの映画の舞台となったが、それは戦争の悲惨さが人々の共感を呼ぶからではなく、悲惨の中に真の愛や友情があると思われているからだ。「コールドマウンテン」に描かれた純粋で激しい愛も戦争という背景があってはじめて存在感を持つ。日本の生ぬるい日常の中では全ての感情が手応えを失ってあいまいなものになってしまう。
_ 私が行動的な若者であって(そうではなかったが)、戦争がバスで行ける距離にあったら、見に行ったかもしれない。それは、興味本意というのとは違い、また自分が何かしなければならないという使命感でもなく、自分が存在している意味を知りたいという欲求に基づくものだろう。
_ 彼は、イラクで自分が求めていたものに出合えたのだろうか。