_ 日本相撲協会は、ケガを理由に夏巡業の休場届を出しながらモンゴルでサッカーに興じていた朝青龍に対し2場所の出場停止と減給の処分を決めた。
_ 休場届の根拠となった診断書は「左ひじ靭帯損傷と疲労骨折で全治6週間」というもので相撲協会はそれを「正当」な診断書だと認めている。診断書が正しければ朝青龍が夏巡業に出ないことは問題に出来ない。つまり相撲協会の認識ではこれは仮病の話ではないのである。
_ 問題となっているのはサッカーの試合に出たことで、その経緯は夕刊フジによればつぎのようなものだった。
_ このイベントは中田英寿が提案しモンゴルサッカー協会が協力して実現したものでチャリティーの要素が強かった。観客はサッカー協会が招待した施設の子供たちで朝青龍は観戦だけの予定だった。彼は子供たちの声援に後押しされるように飛び入りで参加してしまった。サッカーをしていたのは中田以外は全くの素人だった。
_ さて、これをどう評価するか。少なくとも夏巡業をさぼりその間サッカーをして金を稼いでいたという話ではない。医師の診断が過激な運動を控えるようにというものだったら、好ましくない行動とは言えるかもしれない。しかし、横綱の品格を問題にするような話ではない。相撲で100キロ以上の巨漢がぶつかり合うことと比べたら素人相手のサッカーの草試合はものの数ではないとプロである朝青龍が判断したのかもしれない。
_ 本当は痛かったのに出たのならむしろ美談といえる。痛みをこらえて子供たちのためにプレイしたのだから。少なくともモンゴルの人たちはこのように考えるだろう。モンゴルの英雄として期待される行動だったと。
_ では、本当は仮病だったら誰が悪いのか。相撲協会は朝青龍の申告を信じて巡業不参加を認めたわけではない。あくまで専門家である医師の診断書を信頼したのだ。診断書は「疲労骨折」と言っている以上問診だけで書いたわけではないだろう。それがウソだったら書いた医師は処罰されるべきだ。朝青龍は専門家の判断に従っただけだ。
_ 刑事事件では医師の診断書が大きな意味を持つがどこまで信用できるか疑問だ。人間の運命を左右するかもしれない紙だから医師には責任を持ってもらいたい。