_ 渋谷のシアターNのレイトで観た。
_ レニ・リーフェンシュタール監督作品で、1934年のナチ党の全国大会の記録映画。
_ 先ず、ヒトラーの映像や声をこれだけたくさん集めたものは今まで接したことがなかったので堪能した。間違いなく20世紀最高のスターだ。この映画自体彼のプロモーション映画のようだ。
_ 映画は70年を経ても迫力があり、鳥肌が立つ。CGの映像による群集場面はたくさん見たが、この映画の白黒で表されたアリのような群集にはどれもかなわない。
_ 映画以前に党大会の演出がすごい。隊列を作った無数のナチ党員によって地表に描かれる直線で構成された図形と、その上に聳え立つカギ十字のバナー。天に突き刺さるようなサーチライトの光の束。
_ ヒトラーが側近二人と二つの巨大な長方形の黒い人の塊に挟まれた真っ白な道を献花のためにゆっくりと歩く。それをカメラははるか上方から延々と映していく。豆粒のような三人の姿を、近づくことをせず、映し続ける。その真ん中がヒトラーなのだが、それまで多用したクローズアップを使わず、なにかヒトラーでさえも大きな歴史の流れの中では黒い点でしかないと言っているようだった。
_ 総じて言えば、とても危険で魅力的な作品だ。独裁者は権力が作るものではなく、民衆が作るものだということがわかる。その歓喜は麻薬的で、必ず繰り返される。