_ J.D.Salingerの小説。先日NHKで「完全なる問題作」として紹介していた。
_ ビートルズのジョン・レノンを射殺した犯人が殺人現場で読んでいて、殺人の理由はすべてこの本に書かれていると言ったとのこと。また、レーガン大統領を暗殺しようとした犯人がホテルに読み古したこの小説を残していたとか。
_ 評判だけは知っていたが初めて読んだ。反道徳的との理由で発禁処分になったそうだが、今の感覚ではそれほどの衝撃はない。話し言葉で、Goddamとかfor Chrissakeとかの表現がたくさん出てくるのが、問題視されたのかも。
_ 主人公は、高校をドロップアウトした16歳で、ほとんどの他人、先生、大人、同級生をphonyとして軽蔑している。インチキ、偽物ということだ。
_ そんな彼が唯一認めるのが妹、Phoebeだ。インチキな世界で妹と彼のみが本物で、疎外されている。絶望的な雰囲気の小説は最後はPhoebeの純粋さに救われる。しかし、作者は無理してハッピーエンドにしたのかもしれない。流れから行くと二人が心中してもおかしくない。
_ 上記ふたりの犯罪者がこの小説に見たものは何なんだろう。Phonyな世界を正すためには、その世界を代表する人間を殺す必要があるということか。
_ ちなみに、主人公がライ麦畑で捕まえるのは、崖から落ちそうになっている子供だ。それが、科学者や弁護士なんかになるよりよっぽど価値がある行動だと。