_ アカデミー賞国際長編映画賞等多数の賞を受賞。
_ アウシュビッツ強制収容所の隣の屋敷に住む所長ルドルフ・ヘス一家の平和な生活を描いた作品。着眼点は面白いが、それ以上に優れた映画だとは思わない。意識高い系のリベラルが評価する類の映画だ。
_ ヘスの妻は、その屋敷が子供を育てるのに最適な環境だと言い転勤を拒否する。草花や森に囲まれ近くには川もある。自然の描写が美しかった。塀の向こう側の雑音と絶えず煙突から立ち上る黒い煙が不快ではあるが。
_ 自然を愛する者が同時に虐殺者であることが矛盾であると考える人はいるだろう。しかし、ナチスは、心身共に健全なアーリア人種の国家を建設しようとし、その対極にあるユダヤ人を絶滅しようとしたので整合性はある。
_ そのように考えていたのがヒトラーとその崇拝者だけだったら、その連中を異常とすればいいのだが、そうでもないようだ。映画のヘス邸に集まるドイツ人はユダヤ人に対する嫌悪をあらわにする。たぶん多くのドイツ人が同様な感情を抱いていたのではないか。それがドイツ敗戦でなかったことにはならない。
_ また、反ユダヤ主義はヒトラーに始まるものではなく、2000年の歴史がある。古くはキリスト教との対立で今はイスラムとの戦争になった。
_ イスラエルは弱みを見せれば、民族が消滅すると考えていて、それは正しい。それを防ぐには侵略者を皆殺しにするしかない。だから戦争は終わらないだろう。