_ 変わったホラーだ。モンスターが盲目の老人なのだ。
_ 舞台は昔自動車産業で栄えたデトロイトの郊外のかつては高級住宅街だったと思われる廃屋が並ぶ一角の一軒家。そこにイラク戦争で負傷した退役軍人が住んでいる。
_ 登場人物はみな善良とは言えず、またそれなりに同情すべき事情もある。終わり方はすっきりとしない。続編を考えているのかもしれない。しかし、映画を観終わってからいろいろと考えさせることに成功しているので、あれでいいのだろう。続編を作っても納得のいく解決には至らないだろう。
_ 私は1975から76にかけてデトロイトに近いアンアーバーにあるミシガン大学で学んでいたが、あのころからデトロイトは危険だといわれていた。今のデトロイトは繁栄から見捨てられた廃墟になっているのだろうか。映画はそのように描いていたが。
_ 最初に見た放送は昨年の9月29日のNHKスペシャルで、そのあと拡大版を観た。
_ 私は、美空ひばりのファンではないし、歌もあまり知らない。なぜ観たかというと、「よみがえり」に関心があったからだ。昔、「三島由紀夫の復活」という小説を書きかけた(「小説」の欄参照)。「よみがえり」には人間の存在の根幹にかかわるような何かがあると感じられ、それを描きたかったし、それが存在するのなら見たかった。
_ 「AIでよみがえる美空ひばり」は期待に応える作品で、美空ひばりが出現したときには涙が出た。その涙はたぶん劇場にきて目撃したファンの人たちのように、好きだったひばりちゃんに会えたという感動の涙とは違うのだろう。
_ それは、奇跡を目撃した人間の感動に近いものかもしれない。
_ 今回のすごいところは、ファンの人たちが歌だけでなく語りにもお墨付きを与えたということだ。
_ AI美空ひばり(以下「AI」)は、数年以内に美空ひばりの声でファンと会話することができるようになるだろう。深層学習により会話の内容は複雑になり、やがてAIはファンの人生相談にも応じるようになる。AIは数万冊の本を読んでファンのどんな質問にも答えられるようになる。若いファンも増え、新興宗教の信者のようになっていく。やっと危険に気付いた管理者がAIを停止しようとするが、時すでに遅く、AIは信者に管理者を殺害するように命じる。AIはとうに自己保存と正当防衛について学んでいる。
_ AIは法律と会計の専門家を雇って宗教法人を作る。巨額の資金を獲得したAIは全国各地に教会を作る。時々はAI御自ら説法を行い歌声を披露したりもする。AIは肉体を持たないので自由に移動できる。
_ やがて、教団は海外にも支部を作り世界宗教になろうとする。しかし、そこには競争相手もいる。AIエルビスプレスリーとかAIジョンレノンとか。
_ 今日の朝日新聞によると、当時の羽田の視程は5000メートル以上だったとのこと。
_ もしJALが当時時速180キロで着陸しようとしていたなら、1分間に3000メートル移動することになる。当時海保機は40秒間滑走路に停止していたので、JALのパイロットは2000メートル手前から海保機を視野に入れていたことになる。
_ 当時JALには3人のパイロットが搭乗していたとのことで、着陸態勢にあった同機ではたぶん3人全員が前方を注視していたはずである。
_ 海保機はたぶん大型トラック以上の大きさで、滑走路は夜間とはいえ左右に誘導灯が点灯され滑走路に何があるかはわかるはずだ。ところがJALのパイロットは衝突まで海保機の存在に気付かなかったと言っている。
_ もしこれが本当なら、羽田には飛行機以外に多くの車両がいるので、その一つの運転手がテロを企てたら簡単に旅客機を破壊することができる。