_ 最初は「ターミネーター」や「ET」の亜流かなと思いながら観ていたが、やがて、この映画はハリウッドの大作をなぞりながら全く別の世界を描いていることが分かってきた。それは多分ジャパ二メーションに特有の、無機質な未来社会の精密な描写と土俗的な情念が激しく絡み合う、なつかしい世界だ。私はこの分野に詳しくないが、「風の谷のナウシカ」と同質のものを感じた。
_ 山﨑貴監督はVFX出身の38才とのことだが、アニメ文化の中で育った世代である。昨日のテレビ朝日で「アニメ・特撮ヒーロー&ヒロインベスト100」をやっていたが、ここ30年くらいの間に日本はこの種のサブカルチャーで独自の世界を築き上げてきた。いまその文化がCGの力を借りて実写の世界にも進出し始めたのかもしれない。
_ 金城武と鈴木杏は「探偵物語」の松田優作と薬師丸ひろ子のように息が合っていた。
_ 唯一欠点があるとすれば、敵役の岸谷五郎率いる中国マフィアのチャチサで、こんな連中が地球を滅亡に導いたというのは説得力がない。アメリカ映画だったら、CIAとかNSAとか、国家の表または裏の機関もしくはテロリスト集団が出てくるところだが、日本にはいずれもそぐわない。結局、日本で一番こわいのは中国人マフィアということになるのか。