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2002-11-01 北朝鮮の核(近未来政治小説)

_ 金正日さんは読まないでください。

_ 2003年X月5日 日朝国交正常化交渉は遅々として進まず、両国は人質の奪い合いという醜態を演じていた。首相官邸に差出人の記載のない小包が届いたのはそんなときだった。セキュリティーチェックの結果包の中に金属製の箱が入っていることが分かり、警視庁の爆発物処理班により開封された。中には1枚の手紙と鉛の小箱があった。手紙には「1週間以内に朝鮮民主主義人民共和国に対して1兆5千億円の経済援助を決定しなさい。そうしないと、大きな事故が起きます」とあった。鑑定の結果、箱に入っていたのは核兵器に使える高度の濃縮ウランであることが分かった。

_ 2003年X月6日 首相は以前引き上げられた特殊工作船から放射能が検出されていたことと考え合わせて、日本のどこかに北朝鮮の核兵器が隠されていると確信し、極秘の捜査を命じた。首相が内閣調査室から受けていた情報では、日本の援助がなければ北の体制は数ヶ月以内に崩壊するとのことだった。

_ 2003年X月12日 なんの手がかりもないまま1週間が過ぎ、捜査の範囲外だった八丈島で核爆発が起き島民と観光客の全員が死亡した。

_ 2003年X月13日 2通目の手紙が届きそこには、次は1週間後に東京だと書かれていた。

_ 2003年X月14日 首相はアメリカ大統領に電話し、北朝鮮に対する経済援助を決定することの了解を求めた。大統領は反対し、北朝鮮に対してアメリカの核兵器を使用してもいいと言った。首相は、それで1000万都民を救えるわけではないと言い、大統領は説得を断念した。

_ 2003年X月17日 首相は八丈島での核爆発が国際テロ組織の仕業であることが判明したと発表し、テロに対決するために日本は東アジアの安定に努める義務があると述べた。そのために、日本は北朝鮮に対する経済援助を他の案件の解決を待たずに先行して行うと宣言した。

_ 2003年X月18日 東京下町の小さな民家から大きなタンスのようなものが運び出され、引越し用のトラックに積み込まれた。動き出したトラックが前後を覆面パトカーに警護され、はるか上空からは自衛隊のヘリが監視していたことに気づいたものはほとんどいなかった。


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