少数意見

«前の日記(2002-11-01) 最新 次の日記(2002-11-11)» 編集

2002-11-05 狂気の桜

_ 白い戦闘服の3人の若者が渋谷の街を走り抜け、不良共を叩きのめす姿は爽快だ。映像もアーティスティックで日本の伝統的な様式美の中に渋谷と「ナショナリスト」たちを捉えている。

_ しかし、爽快感は最初だけで、3人は既成右翼の抗争にまき込まれていく。

_ 窪塚を追いかける女(ふけた女子高生)が登場する。彼女が、バスの中で赤ん坊を抱いた女性に席を譲ろうとしない男に対して、今の日本人は腐っていると憤慨する場面がある。彼女は「そのような」悪を正すことを窪塚に期待する。この作品の不毛はここに象徴されている。

_ 窪塚たちには倒すべき敵がいないのだ。だから彼らの暴力はそれ自体が目的になり、やがて自らを傷つけ破滅していく。なぜなら、バスの中で席を譲らない男は彼ら自身であり(勿論この行為はもろもろの小さな欺瞞、保身の象徴だ)、そのような悪を成敗するためには、先ず自らを切り裂くことが求められるからだ。


«前の日記(2002-11-01) 最新 次の日記(2002-11-11)» 編集
2001|11|12|
2002|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2003|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2004|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2005|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|
2006|01|02|04|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|06|07|08|09|10|12|
2010|01|02|03|05|06|07|
2011|01|02|03|04|05|
2013|02|07|
2015|07|08|09|10|11|12|
2016|01|02|03|04|05|08|09|10|11|12|
2017|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2018|01|02|03|04|05|06|07|08|10|11|
2019|01|02|03|04|05|06|09|12|
2020|01|06|10|11|12|
2021|01|02|03|05|06|07|08|09|10|11|12|
2022|01|02|03|04|05|06|07|09|10|11|
2023|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2024|01|02|03|04|