_ 別に相撲ファンではないのだが、ここ数日6時近くなると事務所でテレビをつけて貴乃花の相撲を見る。この勇姿を見られるのも今日が最後かな、という感慨を抱いて見る。貴乃花というより最後の横綱として見る。
_ 曙や武蔵丸が横綱としてダメだというわけではない。彼らは普通の日本人の何倍も努力をして異国で頂点に立ったのだから尊敬に値する。しかし、それとは次元の違う話なのだ。
_ 出番を待ち土俵を見上げる貴乃花の姿にはなんとも言えない色がある。薄目を開いて、土俵ではないもっと遠くを見ているようでもあり、時々微笑がうかび、仏像のようにも見える。奇跡のように、日本の美がここにある。そして失われようとしている。