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2005-05-06 ワイドショーは人民裁判だ

_ JR西日本の脱線事故の報道がかまびすしい。後から後から問題の事実が現れる。ワイドショーでは司会者、コメンテーターら全員が異口同音にJR西日本を責め立てる。JR西日本は悪であり、それを袋叩きにすることは正義であり、より感情的に、大げさに責め立てれば自分の正義(神=大衆)に対する忠誠心が証明されるかのごとくである。コメンテーターの中には弁護士もいるが、その姿勢は一般人と変わらない。

_ 刑事事件において弁護士は検察が起訴した人(悪人)を弁護する。民亊事件では、依頼してきた人(いい人であるとは限らない)の立場を主張する。弁護士は自らの正義感を満足させるために仕事をするのではない。弁護士は、どのような立場の人間にも言い分があることを前提に、人を代弁する職業である。「理屈と膏薬はどこにでも付く」という諺があるが、弁護士は理屈のプロであり、どのような立場でも議論できなければならない。

_ そこでワイドショーを見てみよう。そこにはJR西日本を弁護する立場の人はいない。皆が一人(1社)を責めるという構図で、これは、いじめである。いや、JR西日本が一方的に悪いので、いじめではないという人がいるだろう。しかし、どんないじめでも、いじめている者に訊けば、必ずいじめられている者に問題があると言う。だから、理由のあるなしに拘わらず、全員が一人を痛めつける行為はいじめであると考えるべきなのだ。

_ では、ワイドショーに出ている弁護士はどうすればいいか。弁護士であれば、どのような悪事を働いた人間にも言い分があることを知っている。だから、それを本人に代わって主張すべきなのだ。

_ 日本のワイドショーは、弁護士も裁判官もいない人民裁判だ。


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