_ 10年間飼っていたウサギのノコが昨日死んだ。白内障で目がよく見えなかったが、元気だった。3日前からあまり餌をたべなくなり、動かなくなり、静かに死んでいった。
_ 10年前の冬、犬を飼いたいという娘と吉祥寺のデパートに行き、犬ではなく、きれいなピーターラビットに私は惹かれた。2回目に行ったときもまだ売れていなかったので、娘を説得して買うことにした。
_ ノコは私を異性と意識していたようだった。私が、食卓につくと、椅子の下からキューと鳴いて出てきて、足の周りを何回も回り、じゃれ付き、足の毛を引き抜き、遊びつかれると足に寄り添うように横になる。ずっと家の中で飼っていて、他の動物を知らないから、自分も人間だと思っていたのだろう。
_ ノコの最期は、まるで一生懸命に死のうとしているようだったと娘が言っていた。その日の朝、椅子の下に小さく丸くなっているノコに気を送って元気づけようとした私の手を、首をまわして2,3回なめた。それがノコの別れの挨拶だったのだろう。